漫画「ワンピース」への愛と学び…まっすぐ書いた福井の男子高校生グランプリ マンガ感想文コンクール

初代グランプリに輝き表彰状を手にする酒井さん=福井県福井市の福井商業高校

 出版文化産業振興財団(JPIC)が、全国のモニター校を対象に2021年度初開催した「マンガ感想文コンクール2021」で、福井商業高校3年の酒井啓祐さん(17)が、高校部門グランプリに輝いた。10年余り読み続ける人気漫画「ONE PIECE(ワンピース)」への作品愛を、自身の経験と重ねながら熱く表現。「自分の好きな作品だからこそ、伝えたい思いを素直に書けた」と喜んでいる。

 デジタルコンテンツの台頭による活字離れが進む中、漫画を子どもたちの学習や読書に親しむ入り口につなげたいと、集英社の協賛で初めて企画。本格実施に向けたテスト開催との位置付けで、福井県内から唯一の福井商高を含む全国22校の協力を得た。小学校低学年、高学年、中学、高校の4部門に昨年7~9月、計1377人の応募があった。

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 集英社から出版された推薦漫画や自由漫画が対象。JPIC読書アドバイザーや漫画編集者による1、2次審査、「週刊少年ジャンプ」の中野博之編集長(福井県越前市出身)や学識者による3次審査で各部門のグランプリ1人、特別賞若干名を決めた。

 高校部門561人の頂点に立った酒井さんは、外見の違いから回りになじめず暗い過去を抱えるキャラクターを、主人公ルフィが受け止め仲間に迎える名場面について、外見のコンプレックスで悩んだ自身の経験を踏まえてまとめた。

 登場人物の生き方やせりふから、自分の心に素直に向き合うことや自分を貫くことの大切さを学べたと訴え、「目の前の現実も冒険の連続。自分の生き方をぶらさない!」とつづった。審査員からも「冷静な口調だが熱さを感じる、ワンピース読者こその感想文」との評価を受けた。

 父の影響で読み始め、今も新刊発刊を楽しみにしている同作での受賞。書き始めから1時間足らずで1600字を書き上げたという酒井さんは「作品の魅力の、自由さや仲間との絆、自分を曲げない意志の強さなど、好きな作品だからこそ、真っすぐ思いを書くことができた」と振り返った。

 JPICでは本年度、多数の漫画出版社の協力を得て、規模を全国に拡大しコンクールを開催する予定。6月にも詳細を公表する。

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