ゼノ修道士と大浦を歩く カトリック修道士 小崎登明

By 聖母の騎士社

昭和三十年の八月、貧しい人や災害地の救済で全国行脚をしていたゼノ修道士が、久しぶりに長崎へ帰ってきた。そして私に、一冊の小さいメモ帖をみせてくれた。ゼノさんの、昭和五年の貴重な日記手帖で、簡単な単語が記されていた。ゼノさんと私は、その手帖をたよりに、大浦の思い出の地を歩いてみることにした。ゼノさんは歩きながら、日本に来た理由を次のようにいった。「第一次大戦のとき、ポーランドにたくさんの孤児が出ました。孤児を助けるために一番よく働いたのは、日本の赤十字です。三千人も助けました。そのとき、ポーランド人は初めて日本の国を知りました。ポーランドの司教さまは、日本の国のため祈るようすすめました。コルベ神父さまは、日本人に聖母マリアさまを知らせたいと思いました。早坂司教さまは、日本人で初めて司教さまになったお方です。早坂司教さまのことをポーランドの騎士誌にのせました。それで日本のことが、ポーランドの騎士たちの心に残ったのです。それで日本へ来ました」

聖母文庫「長崎のコルベ神父」より

© 聖母の騎士社