江の島が丸ごと「テーマパーク」 藤沢市、コロナ後の観光活性化見据え提案 地域DMO設立も検討

「休日別荘庭園」をイメージした江の島サムエル・コッキング苑の新施設の完成予想図(藤沢市提供)

 神奈川県藤沢市は2022年度、新型コロナウイルス後の観光活性化を見据え、新たな施設整備や体制づくりに取り組む。最大の観光資源である江の島では島全体をテーマパークと見立て「休日別荘庭園」を提案。官民連携で「持続可能な観光地経営」を担う地域DMO法人の設立も検討する。特定の場所や時間帯に観光客が集中するオーバーツーリズムを解消し、地域全体を周遊して楽しむサステナブルツーリズム(持続可能な観光)に重点を置く。

 市は新型コロナ感染症の拡大以降、イベントのデジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)による観光体験など「非接触型施策」に注力してきた。21年度からは、観光再生へ向けた「フェーズ1・アイドリング期」から「フェーズ2・アクセルオン」へ徐々にかじを切りつつある。

 22年度は感染対策の定着や新型コロナワクチン接種の進展、経口薬の開発を踏まえ、主要事業として▽新規周遊券や柔軟な施設料金体系の導入▽観光施設再整備投資(江の島サムエル・コッキング苑)▽観光魅力度向上施策▽誘客宣伝強化-などを据えた。

 コロナ禍以前は年間900万人近くが訪れた江の島については、シーキャンドル(展望灯台)とサムエル・コッキング苑をテーマパークの象徴的存在と捉え、相模湾を望む開放的なロケーションの中で休日を過ごす別荘庭園として提案。

 園内施設の再整備によって飲食施設や休憩施設の充実を図るほか、園内全体をカフェ空間として演出する。子どもが遊べる遊具を設置するほか、植物や文化の体験プログラムも提供する。日中の入園料を10月から無料化し、利用者の分散化を図る。

 コロナ禍を契機に江の島などを訪れる観光客の行動変容が進む中、持続可能な観光経営の視点に立つ「地域DMO法人」の設立も検討する。

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