北海道企業にも男性育休の波 働きやすいはもうかる?

けいナビ

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今回のテーマは、男性の育児休業。育休取得率を見ると、男女では70ポイント近く差が開いている。

その理由として上位に挙がるのは、「収入を減らしたくなかったから」、「職場が取得しづらい雰囲気だったから」、「自分しかできない仕事があった」などだ。

【人手不足が多い中小企業でも】

江別にある北翔。輸入車の部品販売や整備など、いわゆる自動車のアフターマーケットを手掛ける企業だ。

自動車関連業のほか、マスクなどの衛生用品を製造し販売。林業や物流業にも参入している。2年後には野菜の生産と販売も始める予定だ。こうした多角経営の結果、この10年で売り上げは約6倍増えた。

植物工場の予定地

順調に利益を上げられている理由はほかにも。そのひとつが、2011年から始めた効率化だ。電話の対応も止め、外部とのやり取りは全てメールに。今売れている部品は何か、在庫はどれぐらい残っているかを見える化し、発注のむだをなくした。こうした積み重ねで、半年後には残業そのものをなくすことに成功した。

清水社長は「社員の年収も8年間、平均で8%アップを継続している」と話す。まだまだ珍しい残業の撤廃は、男性社員が育児休業を取得しやすい職場環境へとつながった。清水社長は、妻の出産後自らも体調を崩してしまった男性社員に、育児休業を取得するよう促した。不満や違和感を持つ社員はいなかったという。

男性社員の育児休業を勧めたのは、北翔と契約する社会保険労務士の八重崎さんだ。中小企業の多くは人手不足。そんな中で育児休業を取るのは簡単なことではない。八重崎さんは「実際に一人欠けたことで業務の分担の見直しや効率化が進んでチームワークがよくなったという例もある。育休取得が業務の棚卸とか分担の見直しのひとつのきっかけにもなる」と話す。

実際に育休を取得中の俵谷さん。去年11月に第一子が誕生し、12月から育児休業を取り始めた。飲食業に従事している妻も育児休業中。夫婦2人で子育てに励む。

俵谷さんは「妻の負担を減らすためというのが一番の理由。あとは家族の時間を大切にしたい」と話す。

札幌の人材紹介会社「リージョンズ」。従業員は30人。社員の働きやすさを追求し、コロナ前から在宅勤務を導入。配偶者の転勤に合わせた長期休職も認めている。

リージョンズでは、3月末に男性社員が初めて育児休業を取得。第一号は仙台を拠点に勤務する菅原さんだ。3月8日に第一子が産まれたばかり。まずは5日間取得し、時間を置いてもう一度取得する予定だ。

菅原さんは「子どもができたタイミングで人事部門に報告したら、育休を取ってみたらどうかと提案された。コロナ下で、出産時に立ち合いもできなかった。産まれてからほぼほぼ会えてなかったのでようやく関われる」と話す。

高岡社長は「休みから学ぶことで仕事にも好影響がある」と話す

2008年創業のリージョンズ。売り上げは3億5000万円、創業当時の70倍だ。今後も成長していくためには社員の士気を高める必要があり、そのためには職場環境を良くすることは欠かせないとする。高岡社長は「結婚や出産など、会社とか周りの社員に気を使いながら人生設計をしていくのだと思うが、会社にそういう仕組みがもともと整っていればあまりストレスなく自分のペースで設計ができるようになるのではないか」と話す。

【採用にも有利に? 法改正も】

男性育休の推奨は、会社が社員のワークライフバランスを実現できているかという尺度にもなる。働きやすさを重視する学生も多く、採用面でもカギを握りそうだ。

国は、育児・介護休業法を去年6月に改正し、今月1日から施行。これによって企業には、子どもが産まれる従業員一人一人に育児休業を取得するか確認することが義務付けられる。北海道労働局の曽根さんは「法改正の一番の狙いは、男性の労働者が育児休業を取れるようにすること。厚生労働省の調査では男性の正社員の労働者で育児休業の取得を希望していたができなかったという人が37.5%いた。ここにどういう風にアプローチしていくか。法改正では労働者側、事業主側それぞれにアプローチするような内容になった」と話す。

改正育児・介護休業法では、有期雇用で働いている人たちについて、これまで1年以上いないと育休取得はできなかったが、この条件が撤廃された。また、10月からは育休とは別に、出産後8週間以内であれば4週間の休みが取れたり、休業中であっても仕事ができるようになる「産後パパ育休制度」が創設されたりと、範囲が拡充される。

MCの杉村太蔵さんは「育休で人員が一時的に減ることをリスクとする時代ではない。むしろ制度を充実させることがチャンスになる。育休は企業の成長戦略になる」と話した。
(2022年4月16日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)