クプラで参戦のゼングーは「新規参戦2社」と協議。ハフとクリストファーソンを起用か/WTCR

 ハンガリーに拠点を構えるグローバルチームとして、WTCR世界ツーリングカー・カップにも参戦するゼングー・モータースポーツは、来る2022年シーズンに向け「まだWTCRに参戦経験のない新規マニュファクチャラー2社」と、このオフの期間に協議を進めていると明かし、チーム代表を務めるゾルタン・ゼングーはロブ・ハフの残留に加えてヨハン・クリストファーソンの起用を示唆した。

 そのゼングー・モータースポーツがジョイントチームとして参画し、2021年創設の電動ツーリングカー選手権『ピュアETCR』初代チャンピオンを獲得したマティアス・エクストロームは、このハンガリー陣営のETCRプログラム離脱を受け、自らが率いる組織をジョイントチームとして活用。昨季はゼングー・モータースポーツ X クプラとして参戦したチームは新たに“クプラEKS”として、こちらも装い新たに『FIA ETCR-eツーリングカー・ワールドカップ』に変貌を遂げる2年目のシリーズ参戦を表明した。

 2021年のWTCRにクプラ・レオン・コンペティションTCRの4台体制で挑んだゼングー・モータースポーツだが、電撃加入からシーズン最終戦では勝利も飾った2012年WTCC世界ツーリングカー選手権王者ハフの残留に加え、言わずと知れたWorldRX世界ラリークロス選手権4冠王者であり、WTCR参戦経験も持つクリストファーソンとの新規契約にも意欲を見せた。

「そう、我々のクルマにヨハン・クリストファーソンとロブ・ハフを乗せるため、懸命に可能性を探っているところだ」と、地元ハンガリー版の『Eurosport.hu』公式サイトに語ったゼングー代表。

「我々はWTCRでのチャンピオンシップタイトル獲得のために、彼らと一緒に戦いたいと考えている。彼らの給料は私次第で、エントリーとチームの給料も同様だ。同時に我々は、この苦難に満ちた厳しい役割を喜んで引き受け、我々との勝利のために戦いたいと思っているパートナーの参加も望んでいる」と、ノルベルト・ミケリスやミケル・アズコナらを輩出した名将。

 まだ来季WTCRに投入する協議対象マニュファクチャラーの名は明かさなかったゼングー代表だが、チームは昨季WTCRでのプログラムに加えてクプラ・レーシングのオフィシャルチームとしてエクストロームやアズコナらを擁し、電動選手権ピュアETCRの初代王座を獲得した。しかしその結果に対する反響は「かなり控え目なものだった」という。

ロブ・ハフの残留に加えてヨハン・クリストファーソンの起用を示唆したゾルタン・ゼングー代表(右)
2021年開幕直前での電撃加入となったロブ・ハフは、最終戦ソチで移籍後初優勝を飾った
昨季はゼングー・モータースポーツ X クプラとして、初年度の電動ツーリングカー選手権『ピュアETCR』でタイトルも獲得した

■5台体制への拡充予定のリンク&コーが2022年仕様をお披露目

「我々は最初のマルチブランド電動ツーリングカー選手権で優勝し、エレクトリック・シリーズでタイトルを獲得した最初のハンガリーチームだった。それでも家に帰ったら誰もいなかったんだ。『おめでとうございます。来年はあなたを助けたいと思っています』と言ってくれるような人々はね。これにはとてもガッカリしたし、深く失望したよ」

「ハンガリーのメカニックやエンジニアに、こうして高いレベルのチャンスを与えることは私にとっての使命であり、現在の難しい状況を理由に彼らを手放したくはない。この価値が母国でも認められることを願っているし、今も懸命に地位向上に取り組んでいるが、少しでも時間があるときはシャワーで泣いているよ……」

 こうした動きも受け、4月8日付でプレスリリースを発行した“クプラEKS”は、昨季の成功を引き継ぐ形でクプラeレーサーのさらなる開発、熟成に挑むこととなった。

「クプラとの新たなパートナーシップは、電動ワールドカップ連覇に挑戦するチームEKSにとってエキサイティングな時代になる」と、2016年には自らのチームでWorldRXタイトルも獲得したエクストローム。

「いつものように、僕らは勝利のためにETCRに参加しており、新生クプラEKSは次のシーズンに完全に集中している。僕らはスポーツの情熱を共有しており、このクプラEKSの名のもとに、さらに多くのレースで勝利とタイトルを獲得することを楽しみにしているよ」

 そのクプラEKSは、5月6〜8日にフランス・ポーで開幕するFIA ETCR-eツーリングカー・ワールドカップを前に、この4月19日にもドライバーラインアップを発表すると予告している。

 また、2022年のWTCRでは5台体制への拡充を予定するリンク&コー・シアンレーシングは、連覇を達成したヤン・エルラシェールを筆頭に、イヴァン・ミューラー、テッド・ビョーク、サンティアゴ・ウルティア、そして新加入マ・キンファのための2022年仕様リンク&コー03 TCRを披露。

 チームは現在、ハンガロリンクでシーズン前のプライベートテストを実施しており、開幕後はチームごとに3台のエントリーを許可する新しい規則を利用し、各レースの週末に先立ってチームチャンピオンシップに2ポイントを加算できるドライバーを指名する必要が出てきている。

その初代王者マティアス・エクストロームが運営に参画し、新たに“クプラEKS”として2年目のシーズンにコミットを表明した最初のチームとなった
2022年のWTCRでは5台体制への拡充を予定するリンク&コー・シアンレーシングは、2022年仕様リンク&コー03 TCRを披露
開幕後はチームごとに3台のエントリーを許可する新しい規則を活用することになる

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