明太フランス6選。福岡県民ソウルフードの火付け役、「Full Full」に魅力を聞いてみた

かつてはごはんのお供が定番だった明太子。切っても切れない至極の組み合わせだと思っていたのは、もはや昔のこと。今や明太子はパンのお供としても大活躍しています。中でも「明太フランス」は、パン屋さんの定番商品に。今回はそんな明太フランスの火付け役となったベーカリー「Full Full(フルフル)」に誕生秘話を教えてもらいました。さらに、一度は食べておきたいおいしい明太フランスのお店もご紹介します。

福岡名物とパンが出会った!「明太フランス」とは

福岡名物の明太子のお供と聞いて、真っ先に思い浮かべるのはごはん。ですが、そんなイメージを覆してくれるのが「明太フランス」です。バターやマヨネーズなど、お店独自の明太子フォリングをパンにたっぷりサンドした明太フランスは、そのまま食べても立派なランチやおやつになり、ワインなどお酒のつまみにしてもよし。老若男女を問わず、多様な楽しみ方ができるのも明太フランスの魅力です。

今や全国のベーカリーで見ることができる定番商品のひとつですが、明太フランスのメッカといえば、やっぱり福岡!今回は、明太フランスの火付け役ともいえる「Full Full(フルフル)」にその誕生秘話を伺いました。

「明太フランス」の火付け役は福岡市東区のパン屋「Full Full(フルフル)」

『明太フランス』の味のポイントは明太フィリング!

「もちろん全店舗で人気ナンバー1の明太フランスは、土日で、本店は1000本以上、博多店は300本ほど売れています」と教えてくれたのは、店長の小口貴広さん。名実ともに、同店の看板商品である明太フランスが誕生したきっかけは、社長・古田量平さんの「博多の名物パンを作りたい」という思いでした。さらに、製造担当者に向けて古田社長から条件がもう一つ。「とにかく、おいしいものを作りなさい」。

結果、生まれたのが「明太フランス」だったのです。「明太子とパンの組み合わせは、四国にあったベーカリーで、見かけたものだったと聞いています。“明太子”といえば、福岡。明太子とパンの組み合わせは、福岡に店を構える我々こそが力を入れて作るべきではと考えたのだのでしょう」。

明太子を使った「おいしい」福岡名物のパンを作る。そこで当時の製造担当者がこだわったのが、明太フィリングです。今でこそ、多くのお店で食べられる明太フランスは、フィリングには、マヨネーズやニンニク、胡椒など、さまざまな食材を組み合わせて店の個性を出しています。しかし、Full Fullの明太フィリングは、明太子とバターのみというシンプルな組み合わせ。

「何より、明太子の味がダイレクトに伝わるんです。とはいえ、原価も高くなってしまうので、価格とのバランスを取るのが大変だったようです」。1年以上かけて研究・開発されたフルフルの明太フランスは、パンの端から端まで、こだわりのフィリングがたっぷり詰まっています。

切れ目を入れて食べやすくしたことが『明太フランス』ヒットの理由

研究を重ね、納得がいく味に仕上がった明太フランスは、満を侍して店頭に並びましたが、全く売れない日々が続きます。そんなとき、あるスタッフが「フランスパンって固くて食べにくい」と漏らしたことが…。「その声をヒントに、切れ目を入れる今のスタイルが生まれたんです」。

3〜4cm幅の切れ目が入り、さらに真ん中でザクッと半分に切るのがフルフルの明太フランスの特徴。手で簡単に一口大のサイズにちぎることができ、小さなお子さんでも食べやすいのがうれしいポイント。「私たちは、パンを囲んで家族団欒の時間を囲んでほしいと思っています。切れ目を入れた明太フランスもぜひ皆さんで分け合って味わっていただきたいです」。

さらに、フルフルではサクッ、モチッと軽やかな食感のパンにこだわり、国産小麦を採用。明太フランスには、オリジナルパッケージ「めんたいっ粉(こ)」をはじめ、3種類の小麦粉をブレンドしています。「明太バターとの相性を一番に考えたフランスパン。硬すぎず柔らかすぎない食感も、世代を問わず愛される理由だと思います」

『明太フランス』焼き立てを味わうのがおすすめ!

フルフルでは、焼きたての明太フランスを味わってほしいと、少量ずつ、1日に何度も焼き上げています。博多店では、1回6本ずつが基本。1日に50回も焼くことがあるというから驚きです。「パン屋さんのレジに並んでいると焼き立てが目の前に出てくることがあるでしょう。でも並んだ順で冷えたパンを買わないといけない。それってなんだか悔しいじゃないですか(笑)。だから博多店では、たとえ1回前に焼いた明太フランスが残っていても、焼き上がったらホカホカをお渡しするようにしているんです」。

白ワインにも合う、『明太フランス』は白ワインにも合う

そんな明太フランスをさらにおいしく味わってほしいと、博多店限定で、イートインの際にワインのオーダーが可能になりました。「明太子は海鮮なので、白ワインとの相性が抜群。でも、フィリングにはバターを使用しているので、意外と赤ワインにも合うんです。今はグラスのみですが、ご要望をいただいたので、ボトルワインの提供も検討しています」。ショッピングの合間に、明太フランスとワインでサクッとランチなんて、大人の休日を楽しんでみてはいかがでしょう。

THE FULL FULL HAKATA
電話 092-292-7838
住所 福岡市博多区祇園町9-3
公式サイト https://www.full-full.jp
営業時間 10:00〜19:00
定休日 火曜

『明太フランス』が買える福岡のオススメパン屋

フルフルで巻き起こった明太フランス人気を皮切りに、福岡では多くの店が明太フランスを提供するようになりました。今では、多くのパン屋で見かける定番商品となりましたが、なかでもぜひ1度は食べてほしい、おすすめのお店をいくつかご紹介しましょう。

素材にとことんこだわっためんたいフランス「パンストック」

まず、ご紹介するのは、福岡のベーカリー界を牽引する「pain stock(パンストック)」。もはやパン好きで知らない人はいない人気店です。そんなパンストックのめんたいフランスは、売り上げの25%を占めるという人気ナンバーワンの商品。オーナーの平山哲生さんにアレルギーがあったことから、「体に優しいパンを」との思いで国産小麦を使うなど素材には徹底的にこだっています。

めんたいソースに使う無添加の明太子は辛味を調整した特注品。マヨネーズは京都から取り寄せたなたね油を使って手作りしています。さらに特徴的なのが、その形。中央部分がふっくらと丸みを帯びている一方、両端はきゅっととがっています。実はこの形、本場フランスでは、職人さんが手で成形した証といわれているのです。端はガリッと香ばしく、中央はもちもち感が楽しめる、そんな味の変化があるめんたいフランスは中毒性抜群!

パンストックのパンは、店名通り、冷凍して“ストック”してもおいしいように工夫されて作られているのですが、「お店を出て、車の中で一口かじってやめられなくなり、家に着く前に全部食べちゃったっていうお客さまいらっしゃいます」と平山さん。そのお客さまの気持ち、痛いほどわかります…。

子どもから大人まで、安心して食べられるパンストックのめんたいフランスをぜひお試しあれ。

■pain stock(パンストック)
電話 092-631-5007
住所 福岡市東区箱崎6-7-6
公式サイト https://painstock.theshop.jp
営業時間 10:00〜18:00(パンが売り切れ次第終了)
定休日 月曜、第1・3火曜

ディナーのメインになれる存在感!「アマムダコタン」

生クリームをたっぷり挟んだマリトッツォをヒットさせ、昨年、東京進出を果たした「アマムダコタン」は、全国にファンがいる福岡の人気ベーカリーです。そんなアマムダコタンの明太フランスが「明太ペペロンチーノバケット」。その名の通り、手に持った瞬間から、ニンニクの香りが鼻をくすぐります。

明太ペペロンチーノバケットが誕生したきっかけは、オーナーの平子良太さんが経営するイタリアレストラン『ヒラコンシェ』の人気メニュー「明太子のペペロンチーノ」。「イタリアンのお店が出したパン屋だから、ここでしか買えない明太バケットを作りたい」という思いからでした。

無着色・無添加の明太子に、手作りのバター、すっきりした味に仕上がる九州産バターを使った明太ソースはさっぱりした味。ここに、パセリの香ばしさを効かせたニンニクオイルをたっぷりと加えて、パンチをきかせます。歯切れが良く、もっちりとしたクラムが特徴のバケッドは明太ソースとの相性もばっちり!明太子の辛味もしっかりと感じられる大人の味です。

もちろん、このまま食べてもおいしいのですが、店長の川口諒子さんからはイタリアンレストラン生まれのアマムダコタンらしいおいしい食べ方も。「姉妹店の『ダコメッカ』では、ペペロンチーノの代わりに自家製ドライトマトを加えた“明太トマトバケット”を販売しています。同じように、アマムダコタン明太ペペロンチーノバケットに、オリーブオイルで炒めたプチトマトを挟むと、レストランの一皿のようなパンが出来上がりますよ」。白ワインと合わせれば、立派なディナーとなりそうです。

■アマムダコタン
電話 092-738-4666
住所 福岡市中央区六本松3-7-6
公式サイト https://amamdacotan.com
営業時間 10:00〜19:00
定休日 水曜

ご近所のお店とコラボして誕生したご当地パン「モロパン」

2021年にリニューアルオープンしたモロパン。オープンキッチンから続々焼き上がるパンを狙って、多くのお客さんがおとずれるお店です。そんなモロパンと自然食品の店「木藤商店」とコラボして生まれたのが、「木藤めんたいフランス。」。「なにかこの地でしか作れないようなご当地パンを開発したい」と思ったオーナー諸永さんが、ご近所にあり、よく通っていた木藤商店にお声がけしたのがきっかけで生まれました。

使用するのは、無着色の昆布入り辛子明太子。体に優しいクセのない味ですが、昆布のうま味をしっかりと感じることができます。ここへ、オーガニックのりんご酢、糸島産たまご、北海道産バターで作る自家製マヨネーズを加えて出来上がったのが自慢の明太クリーム。長時間発酵製法のバゲットに挟んでしっかり焼き上げた明太フランスは、パン自体にも深い味わいを感じ、やみつきになります。日本酒と合わせて味わうのが諸永さんのおすすめなのだとか。日本酒と明太フランス…まだ未体験の組み合わせにワクワクしますね。ぜひお試しあれ!

■モロパン
電話 092-791-5676
住所 福岡市南区市﨑1-2-8高宮マンション1F
公式サイト https://www.instagram.com/moropain/
営業時間 7:00〜16:00(売り切れ次第終了)
定休日 月・日曜

ごはんからパンへ。人気明太子メーカーの『明太フランス』にも注目!

おいしい明太フランスが手に入るのは、何もパン屋さんだけではありません。実は、人気の明太子メーカーからも、明太フランスが販売されています。

辛味が少なくマイルドな味のパン専用明太子を使用「福太郎」

福岡土産の定番、明太子のおせんべい「めんべい」を手がける福太郎では、本社売店・天 神テルラ店でパンを販売しています。なかでも、一番人気のパンは福太郎の明太子を使用した明太フランスです。明太子というと「ごはんのおとも」のイメージが強くあります が、食が多様化する現代の流れをくみ、福太郎が明太子メーカーだからこそできる「明太フランス」を開発しました。

明太フランスに使用する明太子は、辛味が少ないマイルドな味付けで、うま味がたっぷり。辛味が苦手な方やお子さんも楽しめる味です。トースターでカリッとなるまでリベイクして味わうのがおすすめです。

このほか、福太郎の明太フランスを楽しむならオンラインショップも要チェック。大宰府政庁跡の梅の花から培養した酵母を使用した「明太フランス(大宰府政庁跡 梅花酵母使用)」や、プレーンをはじめバジルやハニーなどのフレーバーが楽しめる「めんたいバターフランス」をお取り寄せで楽しむことができます。

■福太郎本社売店
電話 092-413-4455
住所 福岡市南区五十川1-1-1
公式サイト https://www.fukutaro.co.jp
営業時間 9:00〜17:00、カフェは11:00〜16:00(LO15:00)
定休日 1/1

食べ歩きにぴったり!太宰府にオープンした「YAMAYA BASE DAZAIFU(ヤマヤ ベースダザイフ)」

また、同じく明太子メーカーのやまやが手がけるのは、太宰府天満宮近くにある明太フランス専⾨店「YAMAYA BASE DAZAIFU(ヤマヤ ベース ダザイフ)」。太宰府天満宮といえば、参道での食べ歩きがお楽しみのひとつ。そこで、ワンハンドで楽しめるようにと、明太フランスは食べ歩きやすさと美味しさを追求。

サクッと歯切れがよく、もっちりやわらかいソフトフランス生地に仕上げ、やまや自慢の明太子を使ったオリジナルフィリングがたっぷりサンドされています。

注文後に、オーブンでリベイクしてくれるので、温かいうちにパクリッ!写真の明太チーズフランスは、香ばしい生地から明太バターがじゅわり、チェダーチーズがとろ〜りとけて、口いっぱいに広がります。おいしい明太フランスをお供に、太宰府観光を満喫しましょう。

■YAMAYA BASE DAZAIFU(ヤマヤ ベース ダザイフ)
電話 092-555-3072
住所 太宰府市宰府3-1-1
公式サイト https://www.yamaya.com/corporate/
営業時間 9:30〜17:30
定休日 なし

ランチに、おやつに、ディナーに。『明太フランス』はどんなシーンにもぴったり!

今回は人気店を中心に、一度は食べておきたい明太フランスをご紹介しました。ランチに、おやつに、ディナーに、どんなシーンでもそのポテンシャルを発揮してくれるのが明太フランスの魅力。ここでは紹介しきれなかったおいしい明太フランスのお店はまだまだたくさんあるので、ぜひ皆さんもいろいろと食べ歩いて、お気に入りの味、あなただけの楽しみ方を見つけてくださいね。

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