近畿大学、コストパフォーマンスに優れた手のひらサイズの青酸化合物検出器を開発

安価で小型、かつ迅速・簡便に正確な青酸化合物の検出ができる分析装置を、近畿大学薬学部の研究グループが開発に成功した。

青酸カリをはじめとする青酸化合物は、強い毒性を持ち、殺人事件や自殺などでも用いられることがある。そのため、事件や事故の捜査において迅速な測定が求められるほか、救命医療の分野でも、人命救助のために、速く正確な定量分析が求められる。しかし、従来の検出方法では、大型で高価な装置を用いる必要があることが課題で、他方、簡易的なキットを用いた検出方法でも、精度が不十分という課題があった。

このような背景のもと、本グループが新たに開発した分析装置は、高感度で迅速・簡便に青酸化合物を検出できる手のひらサイズの検出器である。この装置では、青酸化合物を含む溶液を酸で処理して青酸ガスを発生させ、これをNDA-タウリン-ホウ酸混合溶液を浸透させた試験紙と反応させる。試験紙上に生成した蛍光物質の光度を測定することによって、青酸化合物の濃度測定ができるしくみとなっている。

検出できる青酸化合物の濃度は1~100μM以上と広範囲で、大型の装置を用いることなく、極微量の青酸化合物を検出可能。サイズが小さいため事件・事故現場に簡単に携行して、精度よく分析することが可能となる。さらに、2万円以下の安価で製造できるという。

青酸化合物を検出するために今後の捜査や医療現場への導入が期待されるほか、試薬を変更すれば青酸化合物以外の薬毒物にも応用できることから、広く普及することが期待される。

論文情報:

【Analytical Sciences】Development of a cost-effective laser diode-induced fluorescence detection instrument for cyanide detection

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