開幕ダッシュに失敗しても優勝は可能か 昨季のパ上位2チームはどうだった?

ロッテ・井口資仁監督(左)とオリックス・中嶋聡監督【写真:荒川祐史】

ロッテは昨年、開幕から悪夢の5連敗を喫した

2022年シーズンが開幕し、ファンの一喜一憂する日々も始まった。143試合を戦い抜くシーズンは長く、全日程が終了した頃には、序盤戦の勝敗については“忘却の彼方”ということも少なくはないだろう。今回は2021年に熾烈な優勝争いを演じたオリックスとロッテが同年の開幕直後にどのような成績を残していたのかを振り返る。

昨季パ・リーグを制したオリックスだが、同年3月の5試合は2勝3敗。3月26日の西武との開幕戦に山本由伸投手が先発したが、味方の2つのエラーにも足を引っ張られ、7回を自責点1ながら4失点。終盤に追い上げたもののあと1点及ばず、開幕戦の連敗記録を10に伸ばした。

続く27日は、この年13勝を挙げて新人王に輝いた宮城大弥投手が7回2失点と好投し、チームにシーズン初勝利をもたらした。その勢いのまま貯金をつくりたいところだったが、28日は山岡泰輔投手が6回4失点と踏ん張れず。1勝2敗と負け越して、開幕カードを終えた。続く本拠地でのソフトバンク3連戦でも、初戦は打線がソロ本塁打1本と沈黙して敗戦。それでも31日の試合では打線が7得点を奪って連敗を2で止めた。

昨季のパ・リーグ2位のロッテは開幕から5連敗を喫した。ソフトバンクとの開幕戦は二木康太投手が5回5失点と打ち込まれ、リリーフ陣も含めて8失点を許して大敗。第2戦は美馬学投手が6回1失点と試合をつくったが、8回にフランク・ハーマン投手が同点に追いつかれ、9回に益田直也投手がサヨナラ打を浴びた。

3戦目はハーマンが8回に2点を失い逆転を許したが、1点ビハインドの9回2死から菅野剛士外野手逆転2ラン。劇的な今季初勝利かと思われたが、直後に益田投手が2点を失い、2試合連続のサヨナラ負け。勝利の方程式を崩される形で同一カード3連敗を喫した。本拠地に戻って迎えた30日の楽天戦でも小島和哉投手が6回5失点と試合をつくれず、打線も無得点で完敗。31日の試合では投手陣が相手打線を2失点に抑えたものの、攻撃陣が1点しか奪えずに惜敗した。

オリックスは6月に16勝4敗の進撃、以降も負け越した月がなかった

3月は苦戦を強いられた両球団だが、その後の戦いぶりはどうだったのだろうか。オリックスは3月に続いて4月、5月と3か月連続で負け越し、5月終了時点で借金4を背負った。しかし、6月に16勝4敗3分の快進撃。7月以降の4か月は5勝5敗1分、7勝4敗2分、11勝11敗3分、10勝6敗2分けと全て勝率5割以上で、最終的には15の貯金をつくって優勝を飾った。5月までと6月以降では、まるで別のチームに生まれ変わったような変化は、若手の多いチームがシーズンを通して成長を続けていったことの証だろう。

開幕5連敗スタートのロッテは4月1日と2日に2試合連続で16得点を挙げて連勝。勢いに乗ったチームは4月を14勝8敗4分、5月も10勝8敗3分と勝ち越した。6月は7勝11敗4分だったが、7月以降は6勝2敗1分、9勝4敗2分、12勝9敗3分と3か月連続で3つ以上の貯金を生み出し、シーズン最終盤まで熾烈な優勝争いを繰り広げた。最終的には2位に終わったものの、開幕5連敗から始まったことを思えば、見事なV字回復を見せ、良いシーズンを送った好例といえよう。

チームだけではなく、開幕カードからの切り替えに成功し、好成績を残した選手もいる。益田は開幕2戦目から2試合続けてサヨナラ打を喫したが、4月の月間防御率は2.38、5月は同0.90、6月は同1.00と大きく復調。最終的には自己最多の38セーブを挙げ、自身2度目の最多セーブのタイトルにも輝いた。

オリックス山本は、4月は4試合に登板して防御率1.41。6月以降は全ての月で月間防御率が1点台以下、そのうち4か月が0点台という圧倒的な投球を続け、その間喫した黒星もゼロ。最多勝、最高勝率、最優秀防御率、最多奪三振と、先発投手の主要タイトルを総なめにした。

今回取り上げたオリックスとロッテはいずれも開幕ダッシュに成功したとは言い難かったが、優勝争いを繰り広げた。こうした例を見るだけでも、開幕直後に不振に陥ったからといって諦める必要はないことがわかる。開幕直後から好調を維持し、そのまま勢いに乗るに越したことはないが、チーム状態が良いまま長いシーズンを戦い抜くことができる例は、非常に稀であることは確かだ。(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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