熊本地震6年 鹿児島県内自治体、災害時の分散避難で居場所把握に課題 県外先行自治体はアプリ、避難所カード…運用工夫

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益城町が避難状況把握アンケート機能を加えた「ましきメール」のスマホ画面

 熊本地震や新型コロナウイルス下で進む災害時の分散避難を巡り、鹿児島県内では避難者の居場所把握が課題となっている。県外の先行自治体は、避難先をつかむのにオンラインを活用したり、自主避難者が支援物資を受け取る際に書き込む書式を用意するなど、避難所外へも支援を届ける手だてを講じている。

 6年前、震度7を2度観測した熊本県益城町は、町政情報や災害情報を発信してきた「ましきメール」に、昨年度から避難状況を把握するアンケート機能を追加した。住民が一緒にいる人数や避難先、要望を記入し、町へ送る仕組み。アンケートで得た情報を支援に役立てる。熊本地震で町民の避難の動きをつかむのに苦労した経験をきっかけに導入した。

 町はさらに指定緊急避難場所に、緑地公園など車中泊ができる町内19カ所を定め、マンホールトイレやかまどベンチ、防災倉庫を整えた。危機管理課の岩本武継課長は「記憶の風化が最も怖い。鉄は熱いうちに打てというように、対策は急ピッチで進めた。災害時に生かせるよう準備や訓練は重要」と6年間を振り返る。

 福岡市は18年4月から、避難所外からでも住民と行政が情報共有できる防災アプリ「ツナガル+(プラス)」を運用する。熊本地震の被災地に職員を派遣した際、指定外避難の状況把握に苦慮する現場に直面。民間企業と共同で開発した。

 千葉市は避難所に来た人に「避難者カード」を任意で記入してもらう体制をとる。避難先や要配慮事項を書けば物資を受け取れ、支援者側は車中泊者らの情報も得られる。昨年8月には地域防災計画を見直し、避難所運営の項目に「車中泊避難者などの分散避難をする者も支援の対象」と盛り込んだ。

 熊本地震で車中避難者の調査にあたった北九州市立大学の稲月正教授(都市社会学)は「エコノミークラス症候群などの恐れはあるが、プライバシー重視の傾向もあり車中泊はなくならない」とみる。「避難所の外にいる人の不安や潜在リスクを支援者側が把握することは有益。さまざまな手段があるといい」と助言する。

南種子町が車中泊用に確保する「あおぞら広場」=同町中之上