ダイヤ改正で「満員電車」に JR日光線、乗客不満の声 JR「全く乗れないほどではない」【動画】

利用客であふれる宇都宮方面行きのJR日光線鹿沼駅ホーム=15日午前7時12分、鹿沼市上野町

 通勤時間帯のJR日光線鹿沼駅などで、宇都宮行き上り電車の一部が「満員電車」となるほど混雑し、乗客から不満の声が上がっている。3月のダイヤ改正で、車両編成や運行本数が減った影響とみられる。乗客は「何とか対応してほしい」などと訴え、会員制交流サイト(SNS)でも投稿が相次いでいる。一方、JR東日本側は「全く乗れないほど混んではいない」と認識を説明。同駅などに社員を派遣しスムーズな乗車を促す対応を取っている。

 15日朝、JR鹿沼駅。日光線の宇都宮方面行きホームは、午前7時15分発の電車を待つ学生服やスーツ姿の利用客でごった返した。列車が到着すると、利用客が押し合いながら次々と乗り込み、全3両がいっぱいとなって駅を出発した。

 JR東日本大宮支社によると、3月12日付のダイヤ改正で、日光線の車両編成が4両から3両に減少した。また鹿沼駅では午前7時台に3本あった宇都宮行きの本数が2本に減った。

 通勤で30年ほど日光線を利用しているという鹿沼市日吉町、会社員男性(59)は「3両編成になって、東京都内の電車と同じくらい混むようになった。新型コロナ感染の不安もあり密は嫌だ」と眉をひそめる。鹿沼市から宇都宮市の高校に通う男子生徒(17)は「もともと朝は混んでいた。なぜ車両を減らしたのか」と疑問を口にした。

 車両編成や本数減について、同支社は「日光線の利用客は近年減少傾向にある。従来ダイヤや路線全体のバランスを総合的に勘案し、現状の運用が適切と考えた」などと説明する。

 3月に新型車両が投入され、全車両が入れ替わった日光線。同支社は現在、利用客が多い鹿沼、鶴田駅に社員を配置し、乗車案内や車内放送を強化してスムーズな乗車を促している。広報担当者は「ドア付近に立ち止まらず、中まで詰めてほしい。空いている号車への分散乗車にも協力をお願いしたい」と話した。

 日光線の混雑を巡り、同支社の社員で組織する「JR東日本輸送サービス労働組合大宮地方本部」は、ダイヤ改正で安全性や利便性が低下したと指摘。ダイヤ改正を再検討するようJR東日本側に要求している。

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