「ブレーキとアクセルどちらも踏んでない」 コロナ対策巡り岸田首相に激しいやじ 「同時に踏んだ」菅氏と対比

国会

 大型連休(GW)に向けた政府の新型コロナウイルス感染症対策の具体化が進んでいない。菅義偉前首相(衆院神奈川2区)は「ブレーキとアクセルを同時に踏んでいる」と自身のコロナ対策を評して支持率低下にさらされたが、15日の国会審議で岸田文雄首相は野党から「どちらも踏まない」などと批判を浴びた。

 政府は若者世代への3回目ワクチン接種の拡大を目指しGW前からの「ワクワク割」実施を検討した。接種者にイベントや行楽施設の入場割引を行うという経済振興も兼ねた「いわばアクセル策」(政府関係者)。しかし感染の高止まりを受けて先送りされた。また与党幹部によると岸田首相がネーミングに「軽い」と難色を示しているという。

 その一方、まん延防止等重点措置の再発令などブレーキ策も「高齢者への接種は進んでおり、直ちに必要ない」(13日の首相答弁)として見送る方針だ。

 15日、岸田首相は衆院厚生労働委員会のコロナ対策集中審議に出席した。立憲民主党は感染者が医療にアクセスできずに亡くなることを「自宅放置死」と呼び、対策法案を提出。医療機関が休みとなるGW中の対策などを首相に迫った。

 柚木道義氏は神奈川など首都圏1都3県の知事が14日に若者への接種呼び掛けを合同で行ったことなどを挙げ、「若者のワクチン接種をGWの前に広げるべきだ。ワクワク割の制度名称を総理は嫌いなのか」と追及した。首相は同制度について「たちまち始めるということはない」と答弁。「委員ご指摘の事業」などと名称を避け、ネーミングへの不満をにじませた。

 かかりつけ医制度充実を軸とした立民の法案にも「発熱外来などを充実した先にさまざま議論したい」と従来策の説明に終止。野党委員からは「アクセルどころかブレーキもなしか」「聞く力はあっても(接種の必要性を)伝える力はない」と激しいやじが飛んだ。

 前任首相の菅氏は2021年の神奈川新聞とtvkの年頭インタビューなどで自身のコロナ対策について「ブレーキとアクセルを同時に踏んでいるようだ」と説明。矛盾を認めた上で経済を止めない姿勢を明確にし、ワクチン接種の推進で両立の活路を開いた。

 「『GoToキャンペーン』などは批判を浴びたが、『不作為は悪』というのが菅総理の思いだった」。菅内閣の閣僚経験者は振り返り「若者への接種が進まないままGWに突入しても岸田首相は大丈夫なのだろうか」と懸念を明かした。

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