今季チーム4敗中3敗を喫する守護神 鷹・森唯斗、データにも表れる“異変”

ソフトバンク・森唯斗【写真:藤浦一都】

16日の楽天戦で9回に西川に逆転2ランを浴びた森唯斗

■楽天 6ー5 ソフトバンク(16日・北九州)

ソフトバンクは16日、北九州市民球場で行われた楽天戦に5-6で逆転負けを喫し、勝率の差で首位から陥落した。勝ち越して迎えた最終回に今季11試合目の登板となった守護神の森唯斗投手が痛恨の逆転2ランを被弾。今季4敗目となったチームにあって、森が3敗目となった。

同点で迎えた8回、1死一、二塁のチャンスで上林誠知外野手が右翼線への適時二塁打を放って勝ち越しに成功。ついにリードを奪い、あとは最終回、リードを守り切るだけだった。

マウンドに上がった守護神は先頭の辰己を左飛に打ち取り、まず1つアウトを取った。だが、代打の銀次に中前安打を浴びて出塁を許すと、続く西川には右翼スタンドへの逆転2ランを浴び、マウンド上で呆然。その裏の反撃はならずに逆転負けとなった。

6日のオリックス戦、12日のロッテ戦も複数失点して救援に失敗

森はこれで今季3敗目。ここまで6セーブをマークしている一方で、6日のオリックス戦で2失点、12日のロッテ戦で3失点を喫して敗戦投手になっており、救援失敗が続く。試合後、森は球団を通じて「ツーシームが甘くなってしまった。申し訳ないとしか言えません。自分自身、もう後がない。やり返さないといけない」とコメントした。

プロ入りした2014年から7年連続で50試合以上に登板してきた鉄腕の森。サファテが離脱した2018年からクローザーの座を担い、これまで通算127セーブをマークするなど実績と経験は十分にある。その一方で、今季は明らかにこれまでとの“違い”が見てとれる。

それは球速だ。試合を観戦し、感じているファンも多いのではないだろうか。150キロに迫る真っ直ぐと、それとほぼ同じ球速帯で微妙に動くカットボール、ツーシームを武器とする森だが、昨季と比べて、全ての球種の平均球速が低下しているのが、データにもはっきりと現れている。

32セーブをマークした2020年からファストボール系は軒並み球速が低下

例えば32セーブをマークした2020年のストレートの平均球速は147.7キロだった。それが今季は143.4キロと4.3キロも低下しているのだ。同様にカットボールは145.7キロ(2020年)から142.3キロに、ツーシームも147.3キロ(2020年)から142.0キロになっており、ファストボール系は軒並み球速が大幅に低下している。

ただ、この傾向は今季、突然始まったものではない。森は昨季途中に左肘関節化膿性滑液包炎で離脱し、手術を受けたこともあって、4か月超にも及ぶ長期離脱を強いられた。9月に1軍復帰を果たしたものの、離脱前は148キロ前後だったストレートの平均球速は4キロほど低下。オフを経て迎えた今季もそれが続き、球速が戻ってきていない。

森はダイナミックな投球フォームでありながら、実は安定したコントロールに定評がある。とはいえ、本来のスピードとキレが戻ってなければ、安定して抑えることは難しくなる。ここまで接戦が多く、16試合中11試合で森を起用してきた藤本博史監督は「投手コーチと話します」と今後の起用法について明言を避ける。守護神として使い続け復調を待つか、それとも配置転換に打って出ることになるか。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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