宮古島「EMS」ビジネスに 市と業者が協定

 【宮古島】宮古島市はこのほど、市が進めてきた「全島エネルギーマネジメントシステム(EMS)実証事業」のビジネス化に向けてすまエコ社(同市、宇佐美徹社長)と基本協定を締結した。再生可能エネルギーの導入拡大を見据え、発電量に応じた島内全体の電力消費量最適化の取り組みを、民間レベルで進める。ビジネスモデルが確立すれば、国内初の電力需給が協調した面的EMS活用モデルになるという。

 市はすまエコ社と連携し、電気で動く省エネ型のヒートポンプ(HP)式給湯器「エコキュート」や電気自動車などのエネルギーを蓄積できる装置を遠隔で稼働、充電できるよう制御するシステムを検討し開発する。これらを安価に調達・普及させることで、遠隔制御が可能な電力量を拡大させる。

 開発後はシステムを運用する「EMS事業者」になり、各家庭・事業所に設置された装置の遠隔操作を担う。電気利用者が意識することなく、太陽光や風力など自然条件で発電状況が左右される再エネの発電量に応じた消費ができるほか、電力需要のピークシフトができるようになる。

 電力会社の発電効率向上によるコスト削減になるほか、現在も離島地域を中心に一時保留状態となっている太陽光発電の接続可能量拡大につなげる狙いがある。

 当面はシステムの研究開発に取り組み、2018~20年ごろのビジネス化を目指す。電力需給最適化によるエネルギー供給コスト削減分を収益源として見込む。

 調印式で下地敏彦市長は「実証で終わらせないため、民間のノウハウを入れて事業化を目指す。宮古島発のモデルとして国内外にアピールしたい」と抱負。宇佐美社長は「社会的意義は素晴らしいものがある。われわれの力でビジネス化し、石油依存型社会から脱却を目指す」と決意を新たにした。

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