3ワイドバトルで2台抜き&2位獲得のSTANLEY山本尚貴「チャンスは一発で仕留めたいと思っていた」【第1戦GT500決勝】

 岡山国際サーキットで行われた2022年のスーパーGT第1戦。GT500クラスはENEOS X PRIME GR Supraが優勝を飾ったGT500クラスだったが、終始各所でバトルが繰り広げられるレース展開となった。その中で、大接戦を制し2位表彰台を獲得した100号車STANLEY NSX-GTの山本尚貴と牧野任祐は、苦しい中でも結果を残せたと、笑顔をみせていた。

 3番グリッドからスタートした100号車STANLEYは、昨シーズンと同じように牧野がスタートスティントを担当。序盤から関口雄飛(DENSO KOBELCO SARD GR Supra)を攻略しようと積極的に仕掛けていったが、なかなか前に出ることはできなかった。

「僕の方が余裕はありそうだったし、もちろん燃費のことを考えながらコースティングしていましたけど、おそらく関口選手もコースティングしていたと思います」

「その中でチャンスがあって何回かトライはしていたのですど、抜くまでにいたらず、その間に僕のタイヤも厳しくなってきて後ろから38号車(ZENT GRスープラ)と12号車(カルソニック IMPUL Z)が来てしまいました」

「関口選手のブロックがうまかったですね。『いやらしいな抑え方だな』と思って走っていました。僕も後ろにいたらおそらく同じことやっていたと思いますけど、関口選手はうまかったですね。単純にトヨタとホンダのクルマの差もあったかもしれませんけど、あそこで抜けれていたら、もうちょっとペースを上げられたかなと思うので悔しいところでした」

 その後、ひとつポジションを落として4番手でピットインした牧野は、ピットウインドウが開いた28周目にピットインし、山本に交代した。

 これでポジションアップを目指した100号車陣営だったが、逆に順位を落としてしまい、山本も余裕のないスティントだったと振り返る。

「早めにピットに入って順位を上げる作戦でしたけど、いろいろなことが重なってペースが上げられなくてポジションを逆に下げてしまったので、ちょっと苦しいレースになるなと予想していました。だけど、諦めちゃいけないなと思って、最後まで頑張った結果、チャンスが巡ってきたという感じでした」

 いつも“最後まで諦めない”ことを信条にレースに臨む山本。その結果、スティントの後半でチャンスが生まれていった。66周目に39号車DENSOの中山雄一を捉えて4番手に浮上すると、残り10周のバックストレートで72周目の12号車カルソニックの平峰一貴、38号車ZENT石浦宏明と3ワイドのバトルを展開。この日、一番サーキットが盛り上がった瞬間だった。

「前方で2台が争っていたので『これはチャンスかな』と思っていました。自分もバックストレートの立ち上がりでトラクションをちゃんとかけられたし、タイヤの状況もよかったので『これはいくしかない』と思いました。

「平峰選手もフェアに1台分のスペースを空けてくれていて……あそこで3台並ぶというのは僕も見たことがないし『3台並んで走れるんだ!』と思いましたけど、ちゃんと前に出ることだけを頭に入れて、ブレーキのバランスとか温度を管理して飛び込みました。理想どおりのオーバーテイクができたと思います」

「岡山は抜きどころが少ないし、抜けるチャンスがあるようでないので、チャンスが来たら一発でモノにしないといけないなと思っていましたが、ちゃんとモノできて良かったです」

 この瞬間をピットで見ていた牧野も「ひとりの観戦者として、興奮していました!」と語った。

 これで2番手のポジションを得た山本だが、さらに大きなチャンスが巡ってくる。残り6周を切ったところで導入されたフルコースイエローの解除時にトップの山下健太(ENEOS X PRIME GR Supra)が、GT300車両と交錯する場面があり、そこで一気に感覚が縮まったのだ。

「急に前が詰まって、一瞬何が起こったのか分からなかったですけど『これはチャンスだ』と思って、それこそ最終ラップの最終コーナーまでプッシュしました。最後は届かなくて残念な気持ちもありますけど、昨日の出だし、そして今日の牧野選手と僕のスティントでの出だしを考えると、こうして2位で終われるというのは、ちょっと予想外だった部分ではあります」

 最後はトップに1.7秒届かず2位でチェッカーを受けた100号車。レース後半の快進撃が印象的だったが、山本は天国の高橋国光総監督に思いを馳せ「本当は優勝して報告はしたかったですけど、最後にこうやって2位という結果を後押ししてくれたのは、国光さんだったのかなと思うので……もっと良い報告ができるように、これからひとつずつ積み重ねて、最後にチャンピオンを獲ったという報告をしたいですね」と、決意を新たにしていた。

 同じく牧野も「開幕戦としては良いレースができたと思いますが、(国光さんに)やっぱり優勝の報告しないといけないですし、チャンピオンの報告ができるように、まだ開幕したばかりなので、次回以降も頑張ります」と、改めて気合いを入れていた。

2022スーパーGT第1戦岡山 DENSO KOBELCO SARD GR Supraの中山雄一とSTANLEY NSX-GTの山本尚貴のバトル

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