1番に据えた大田泰示が移籍後初アーチも… DeNA三浦監督の“勝負手”の明暗

DeNA・三浦大輔監督【写真:荒川祐史】

桑原を新型コロナウイルスの影響で欠き、1番に抜擢した大田

■ヤクルト 5ー4 DeNA(17日・横浜)

DeNAは17日、本拠地・横浜スタジアムで行われたヤクルト戦に、4-5で逆転負けを喫した。中盤までに4点をリードしたものの救援陣が打たれて試合をひっくり返された。この日、三浦大輔監督が攻撃面で繰り出した2つの“勝負手”は明暗が分かれることになった。

三浦監督はこの日、日本ハムを自由契約となり新天地を求めた大田泰示外野手を初めて「1番」で起用した。ヤクルト先発の左腕・高橋に対し、1回の第1打席は空振り三振に倒れたが、3回2死走者なしで迎えた第2打席で左翼スタンドへソロ本塁打。真ん中に入ってきた146キロを逃さず、移籍後初アーチを放った。

「前の打席で三振してしまったので、とにかくアジャストしようと思い、打席に向かいました」と振り返った大田。三浦監督は「いつもベンチを盛り上げてくれている。1番で打線に勢いをつけてもらう狙いがありました」と1番起用の狙いを明かした。試合前の時点で今季打率.154(13打数2安打)と、決して調子が良かったわけではないが、指揮官はベンチで誰よりも大きな声を張り上げ、前向きなムードを醸し出す姿を評価していた。

DeNAの1番は桑原が昨季143試合中122試合で任されたが、今月10日に新型コロナウイルスの陽性判定を受けて離脱。代役として最初に抜擢したドラフト6位ルーキー梶原は12日の巨人戦(那覇)で5打数4安打1本塁打と活躍したものの、その後は沈黙。16日に起用して5打数1安打だった5年目の宮本も左打者で、左腕の高橋との相性は疑問だった。そこで昨年日本ハムで4度リードオフマンを務めた大田に白羽の矢を立てたのだった。

終盤の勝負手で送り出したベテランの藤田は痛恨の併殺打

大田の1発で先制したDeNAは、続く4回にも1四球を挟み4連打で一挙3得点。中盤までに優位に立った。ところが、6回に先発の大貫が3連打と犠飛で2失点。8回にはエスコバーが2安打2四球を献上して同点に追いつかれた。9回には4番手の新外国人右腕クリスキーが無死一、二塁のピンチをつくり、リリーフした田中健が無死満塁から山崎に決勝犠飛を許した。

三浦監督は「いい形で先制し、リードを取れたが、もう1点を取り切れなかった。流れ、勢いをものにできなかったですね」と語り、5回から8回まで毎回走者を出しながら追加点を奪えなかった攻撃面にも敗因を求めた。

特に4-4の同点で迎えた8回には1死満塁の勝ち越し機を作り、田中俊の代打にプロ18年目の39歳、ベテランの藤田一也内野手を送った。「藤田で勝負しました」と指揮官。楽天を経て10年ぶりにベイスターズに復帰した藤田は、15日に代打で今季初安打を放ち、前日の16日には初めてスタメンで起用され4打数1安打。確かに、何かをやってくれそうなムードは漂った。

ヤクルト5番手・石山に対し、3ボールと“勝ち越し押し出し”まであと1球と迫ったが、そこから見逃しと空振りでストライクを2つ取られてフルカウントに。最後は外角低めいっぱいの149キロ速球に押し込まれ、痛恨の二ゴロ併殺打に倒れて一塁へのヘッドスライディングも及ばなかった。

「大田にはこの1本をきっかけに状態を上げていってほしい」とまなざしを向けた三浦監督。桑原の他にも牧、楠本、神里、柴田、倉本、戸柱らを新型コロナウイルス陽性で欠き、スタメンの編成がままならず、代打も手薄な中で、苦心のタクトを振り続ける。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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