佐々木朗希は「信じがたい投球をしている」 専門家が見る2戦連続“完全”の凄み

日本ハム戦に先発したロッテ・佐々木朗希【画像:パーソル パ・リーグTV】

野球評論家・新井宏昌氏「四球を出すイメージが沸かない」

■日本ハム 1ー0 ロッテ(17日・ZOZOマリン)

ロッテの佐々木朗希投手は、17日に行われた日本ハム戦(ZOZOマリン)に先発して8回パーフェクト、14三振を奪う快投を見せた。史上初の2試合連続での完全試合はならなかったが、投げる度に凄みを増す右腕に、オリックス、ソフトバンク、広島で打撃コーチなどを歴任した野球評論家の新井宏昌氏は「打線の兼ね合いもあるが、20勝も十分期待が持てる」と太鼓判を押した。

最速163キロの直球にフォークを交え、8回まで奪三振ショーを演じた。この日も佐々木朗は1人の走者も許さない圧巻の投球。前回登板だった10日のオリックス戦では28年ぶりの完全試合を成し遂げた。そこから中6日。大きな注目を集めた一戦だったが、表情一つ変えずに淡々と打者を抑えていった。

文句のつけようがない投球に新井氏は「これだけのスピード、鋭いフォークを投げる投手は荒れるイメージがあるが、制球力も抜群で球速も衰えない。信じがたいピッチングしている。四球を出すイメージが沸かない」と驚きの声をあげる。

降板となった8回も最後の打者となった野村に対し、この日最速タイの163キロで見逃し三振を奪った。ややシュート回転するボールはあったものの、「球威が最後まで落ちないのが凄いところ。身体能力も素晴らしい」。入団当初に課題とされていたスタミナ面を克服した姿にも成長を感じている。

佐々木朗は「真っすぐとフォークだけ。これは凄いこと」

現在、日本球界でNo1投手と評されているのは昨季に沢村賞、最多勝などタイトルを総なめにしたオリックスの山本由伸投手だろう。150キロを超える直球にスプリットなど多彩な球種を操る右腕を新井氏は「球種が多彩で、どのボールも一級品。変化球とのコンビネーションで打者を打ち取る」と評価する。

一方で、佐々木朗希はほぼストレートとフォークの2球種で、わずかにカーブやスライダーを交える程度。にも関わらず、17イニング連続で1人の走者も出さない投球を続けており、新井氏は「真っすぐとフォークだけでこれだけ投げる。これは凄いこと。20勝投手という期待も十分に持てる」と目を細める。

投球以外にも評価できる部分があるという。どれだけ好投しても淡々と投げる姿に「表情も変わらない。目一杯投げてるのか、へばっているのかも分からない。表情に出さない投手は打者としてはやりづらい」と指摘。さらに「投球フォームでタイミングを取りにくい投手はいる。佐々木はオーソドックスながら、ボールにタイミングを合わせにくい。それだけ凄いボールを投げているということでしょう」と分析した。

平成以降で20勝をマークした投手は西本聖(中日)、斎藤雅樹(巨人)、上原浩治(巨人)、斉藤和巳(ソフトバンク)、井川慶(阪神)、岩隈久志(楽天)、田中将大(楽天)の7人のみ。高卒3年目にして完全試合を達成し、投げるたびに凄みを増す佐々木朗。一流の階段を上る若き右腕は一体どれだけの成績を残すのだろうか。次回登板も大きな注目を集めるのは間違いなさそうだ。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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