口の機能訓練をスマホで気軽に パタカラプラス ダウン症者など支援 医療、音楽、ダンス、IT…多分野連携

取り組みを発表するパタカラプラスの評価グループメンバー=長崎市内

 ダウン症などの人が手軽に口腔(こうくう)機能のトレーニングができる仕組みの構築へ向けて、医療、音楽、ITなど多分野の人々が連携して取り組んでいる。その現況を紹介する「パタカラプラスオンライン発表会」が、長崎市内であり、動画投稿サイト、ユーチューブでライブ配信された。
 パタカラプラスとは、「染色体障害児・者を支える会(バンビの会)」関係者が中心となって結成した団体で、このプロジェクトの名称でもある。「パ、タ、カ、ラ」という発音を通して口の機能を保つ既存の訓練「パタカラ体操」を出発点に、歌やダンスを取り入れたコンテンツの制作と、訓練の成果をスマホ上で簡単に自動評価できるアプリの開発を、両輪として進めている。
 音楽やダンス関係者でつくるコンテンツ作成グループは、オリジナルの歌「パンダのたからもの」に振り付けを合わせた動画を2020年にユーチューブで公開。現在は「DVDがあれば使いやすい」という要望に応える形で、アニメも活用したDVDの自主制作に当たっており、近く完成予定だ。
 アプリ開発を目指す評価グループは、口腔機能や言語機能に詳しい医療分野の専門家や、IT技術の専門家で構成。既存の音声認識技術や発音検出技術を組み合わせ、より高精度で楽しみながら利用できる自動評価システムの構築に取り組んでいる。
 発表会では、パタカラプラスに関わる10人余りが、それぞれの立場から「ダウン症の子どもが気軽に言葉のレッスンができるようになれば」「より使いやすく改良していきたい」と今後への期待や展望を語った。当日の映像はユーチューブで視聴できる。
 パタカラプラスを統括するみさかえの園総合発達医療福祉センターむつみの家(諫早市小長井町)の近藤達郎医師は「さまざまな分野の専門家が集まって新しいことにチャレンジしている。このことを多くの人に知ってもらいたい」と話している。


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