新型コロナウイルス禍が始まって2年余り。「横浜スパークリングトワイライト」が2年連続で中止となるなど、横浜港周辺では大規模の花火大会が相次いで見送られてきた。例年、ミナト・横浜の夏の夜空を彩ってきた老舗打ち上げ業者横浜山田の花火(横浜市南区)は、売り上げが大幅に減少。厳しい環境下にあるが、「シークレットかつ短時間」でも定期的に打ち上げることで、地域活性化に貢献したいと意気込んでいる。
「久々に花火見た。すごいきれい!」
3月下旬、横浜市内の中学校校庭。夜空に花火が上がると、生徒の歓声が上がった。この2年間、新型コロナの影響でさまざまな学校行事が中止となった生徒たち。55発、時間にして数分の打ち上げ花火は卒業生の門出を祝おうと、学校側が企画した。
「喜んでもらえてうれしいです」。山田洋右専務(45)は後片付けをしながら、目を細めた。
横浜港エリアで行われる数千発規模の花火大会が売り上げの多くを占めていた同社。しかし、感染拡大に伴う相次ぐ取りやめによって大きな収益源を失い、年間売上高は約7割落ち込んだ。今は、サプライズで5分間だけ打ち上げる「ヨコハマスパークリングナイト」のように、規模を縮小したイベントで何とかしのいでいるという。
「花火打ち上げ業は、依頼があって成立する業種。営業すれば売り上げがすぐに増えるわけではない」。山田専務は明かす。
コロナ禍の収束は見通せず業界にとって厳しい状況が続くものの、風向きは少しずつ変わり始めている。