【規制改革推進会議WG】家庭用医療機器において兆候を検出した疾病名の表示について議論

【2022.04.18配信】内閣府は4月18日、規制改革推進会議「医療・介護・感染症対策ワーキンググループ(WG)」を開催した。この中で議題1として「家庭用医療機器において兆候を検出した疾病名の表示について」が議論された。厚労省は「可能な部分については整理したい」との考えを示したという。

WGではカルディオインテリジェンス社などが要望をプレゼンし、家庭で得られるデータを基にリスクを判定し、病名を表示することが可能になっている状況を説明。
その上で、安全性の確保や表示根拠のエビデンスがある場合に、表示は規制上、どのような問題があるのか等について質問や要望を行った。医師の確定診断を前提としつつ、どのような条件であれば表示が可能なのかなどの質問も行われた。事業者が開発にあたっての予見可能性を求めたもの。

これに対して厚労省は、「一般論としては病名を示してリスクに関する情報提供を医療機器が行うことは薬事承認の範囲内で可能」と回答。「これらの情報提供を行う製品が、専ら一般の人が購入し使用する医療機器に該当するかどうかは、当該製品が使用者に提供する情報の臨床的意義が確立しているか、使用者自らが結果を解釈し、受診の要否の判断を含めて適切な行動に繋げられるか等の観点から、個別に判断することになる。また、提供される情報の妥当性については、当該情報の裏付けとなるエビデンスに基づき評価される」とした。

今後の厚労省の対応としては、「このような製品が使用者に提供する情報の臨床的意義等について、関連学会等の専門家との協議が必要」とした。さらに、「一般の人が購入し使用する医療機器の研究開発の動向・進捗の把握が必要」とした。

留意すべき事項として厚労省は次の3つを挙げた。
(1) 健常者を含めた当該医療機器の使用者が、適切な受診機会を逃す可能性を一つのリスクと捉え、そのリスク低 減策が必要であること。特に、対象とする疾患の特性を踏まえ、家庭用医療機器としてのリスク・ベネフィット等につ いて検討が必要であること。
(2) 当該医療機器の使用者が医療機関を受診した場合に、医療機関側で適切に対応するために、当該医療機器の 性能、機能等の情報について、使用者だけでなく医療機関側へも提供が必要になること。
(3) 疾病の確定診断は、医師が行うものであること

その上で、具体的な対応策として、(1)使用者への情報提供(添付文書等による注意喚起)や、(2)医療関係者への情報提供(関係学会・医会と調整の上で、 情報提供)、(3)安全性情報の収集・追加の安全対策の実施(受診遅延や健康被害等の情報収集)、(4)その他の留意点(収集された情報のセキュリティ対策)ーーなどを挙げたという。

委員からの主な意見として、次のようなものが出たという。
・情報提供情報収集に関して、ベンチャー企業が開発するという実態も踏まえて、健康被害が起きてないという情報の収集は過度の負担なので、具体的にどういう情報収集が必要なのかどうなのかということを明確化すべきである。
・学会との協議については、利益相反の防止などが必ずしも徹底されてないような事例もある中で、いかにその透明性を向上させていくかどうかというところが課題になるのではないか
・日本の企業においては、グレーはクロと判断してしまうような傾向もあるので、産業振興の観点から行政が情報発信していくということが重要

厚労省からは、「疾患領域の分野横断的に可能な部分については考え方をまとめていきたい」との発言があったという。

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