川崎の伝統野菜・のらぼう菜 名人の亡き夫思い今年も収穫

畑で「のらぼう菜」を収穫する高橋寛子さん(左)と菅野久子さん=川崎市多摩区菅6丁目

 川崎市多摩区で伝統野菜「のらぼう菜」の収穫が進んでいる。栽培方法を指導し、おととし12月に他界した高橋孝次さん(享年88歳)から引き継いだ妻寛子さん(85)の畑では、寛子さんと教えを受けたボランティアが丁寧に作業を進めている。収穫は今月いっぱい続く見込み。

 のらぼう菜は軟らかい食感が特徴のアブラナ科の野菜で、苦みが少なく、多摩区など市内北部で育てられる。高橋さんの畑では今年、自宅近くの約6アールの畑で約1千株を栽培した。

 2月23日に初収穫し、市内小学校の学校給食用や飲食店、漬物店に出荷している。3月中は晴れの日が続いて生育が促され、例年より早いペースで収穫が進んでいる。今年は茎が太く、甘い仕上がりという。

 18日は時折小雨が降る中、寛子さんと、孝次さんから栽培方法を教わったボランティアの菅野久子さん(74)が、昨年11月に植えた株を収穫した。寛子さんは「食べた人から『おいしい』と言ってもらえることがやりがい。主人の志を継ぎ、今年も来年も作り続けていきたい」と夫から受け継いだ畑を前に笑顔を見せた。多摩区の高橋さん宅前でも一般販売している。

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