京都名産タケノコ「豊作」でも取引激減 農家支援へ「刺身で味わえる」商品

朝掘りし、釜ゆでして氷詰めした「春筍ボイルたけのこ」(長岡京市奥海印寺・小川食品工業)

 今年は「豊作」と言われている京都・西山エリアのタケノコだが、新型コロナウイルス禍の2年間、料亭やホテルとの取引が激減し、その影響は現在も影を落とす。農家が丹精込めて育てたタケノコをより多くの人に味わってもらおうと、収穫期限定で「春筍ボイルたけのこ」の販売を加工品製造販売の小川食品工業(京都府長岡京市神足)が始めた。

 タケノコの収穫時期は例年、3月下旬から5月初旬。昨年、各地の緊急事態宣言が収穫時期の一部と重なり、料亭など飲食店の大幅な需要減で市場価格が下落した。特に3月はタケノコの生育が早すぎたこともあり、1キロあたり250円と例年の10分の1まで落ち込んだこともあった。小川食品によると「関東圏の料理店からの予約はこの2年、ほとんどない」という。

 小川食品は今年、タケノコの収穫が始まった4月から、飲食店だけでなく消費者向けにも「ボイルたけのこ」の販売を開始した。小川修司社長(65)は「西山の農家が200年以上続く伝統的な栽培方法で育てた『京たけのこ』を、一つでも多く届けたい」との思いを込める。

 「ボイルたけのこ」は、地元農家が朝からホリと呼ばれる独特な道具を使い丁寧に一つ一つ掘ったタケノコを買い取り、すぐに工場で皮付きのまま釜ゆでし、氷詰めにして発送する。柔らかく香り豊かなタケノコは、白くえぐみもない。刺し身で味わえるほど新鮮な状態で届ける。

 「掘っても出荷できなかった農家の悔しさを今年は何とかしたい」という小川さん。「タケノコ栽培の継続を断念する農家も出てきている。『京たけのこ』を未来に残すためにも、手軽に味わってほしい」

 「ボイルたけのこ」は1セット約1.5キロで2~4本入っている。価格は6048円。販売は4月中。問い合わせは小川食品(0120)438166。

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