小田原ゆかりの「外郎売」、児童らも学んで 二代目市川団十郎創作の歌舞伎演目 市民団体が絵本贈る

絵本を寄贈する「外郎売の口上研究会」の善波代表(右から2人目)

 神奈川・小田原ゆかりの歌舞伎演目である「外郎売(ういろううり)」の口上を子どもたちに学んでもらおうと、市民団体「外郎売の口上研究会」が、小田原市立小中学校計36校に絵本「外郎売」を寄贈した。

 外郎売は江戸時代、二代目市川団十郎が持病の咳(せき)が外郎の薬で治ったことに感謝して創作したと伝わる市川家歌舞伎十八番の一つ。薬を売り歩く長ぜりふを絶妙な早口でまくし立て、現代では演劇の教材にも使われる。

 研究会は2004年に結成し、口上を披露する大会も毎年開催。絵本は作家長野ヒデ子さんがイラストを描き「外郎売を知るきっかけに」と寄贈を決めた。

 研究会の善波裕美子代表は「小田原の小学校では6年生で小田原提灯(ちょうちん)や二宮尊徳のことを学ぶ。外郎売も授業の中に採り入れてほしい」と呼びかけた。栁下正祐教育長は「小田原の自慢できる伝統文化を子どもたちにも学んでもらえれば」と話した。

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