国内初、レトルト商品に音声コード 視覚障害者も安全調理 長崎・ニュータンダ

パッケージ裏面の音声コード。スマホで読み取ると音声で調理方法が聞ける

 ホテルニュータンダ(長崎市常盤町)は、自宅でホテルレストランの味を再現できるレトルト商品「長崎居留地洋食シリーズ」を発売した。視覚障害者に配慮し、商品説明を音声で聞ける規格「Uni-Voice(ユニボイス)」をレトルト食品としては国内で初めて採用。同規格の用途も広げようとしている。
 新型コロナウイルス感染症拡大を受けて企画。毎年、冷凍食品として期間限定販売し好評を得ているカレーとビーフシチューをはじめ、同ホテル内レストランの人気メニューのハヤシライスソースなど5種類をレトルトで商品化した。
 持続可能な開発目標(SDGs)の「誰ひとり取り残さない」という理念に基づき、視覚障害者も調理しやすい商品を目指した。当初はパッケージに点字を印刷する構想だったが、一定の表示面積を要し、点字を読めない視覚障害者もいることから再検討。県立盲学校教諭で自身も全盲の東濱啓さんのアドバイスを受け、ユニボイスを採用した。弱視や失読症、高齢の人など幅広い層に使いやすくなった。

ホテルニュータンダが発売した音声コード付きのレトルト商品「長崎居留地洋食シリーズ」

 スマートフォン専用アプリで、パッケージの2次元コードを読み取ると、自動読み上げ音声が聞ける。温め方の手順だけでなく、蒸気口の位置なども説明し、安全に調理できるようにした。コードの掲載箇所をエンボス加工にし、触ると位置が分かる。
 パッケージの図柄は長崎市出身の版画家、田川憲(1967年死去)の作品。「国内初の気球飛揚の地」に近いホテルの立地にちなみ、気球をあしらった。ポストカードも封入し、作品にまつわるエピソードが聞けるユニボイスのコードも掲載している。
 同ホテルで配布する観光マップにもユニボイスを採用し、観光情報を音声で聞ける。商品を企画した八尾直美企画部次長は「今後もレストランのメニューやホテルの約款などに活用していきたい。ユニボイスはさまざまな場面で役に立つ規格なので、商品を通じたさらなる普及にも期待している」と話した。
 いずれも1500円(税別)。同ホテルの売店やネット販売サイトで購入できる。


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