駐カナダ大使に着任 山野内勘二氏に聞く 「資源大国と関係強化したい」

駐カナダ特命全権大使になった山野内勘二さん=外務省

 今年2月まで在ニューヨーク日本国総領事館のトップである総領事を務めた山野内勘二氏(64)=長崎県佐世保市出身=が近く、駐カナダ特命全権大使に着任する。抱負などを聞いた。
 「カナダといえば『赤毛のアン』やメープルシロップなど牧歌的なイメージがあるが、一方で世界有数の資源大国。国際社会・経済の安定に大きな役割を果たす潜在力がある。関係をより強くしていきたい」
 佐世保市立日宇小、日宇中を経て県立佐世保南高から東京外語大に進んだ。1984年に外務省入省。総理大臣秘書官や米国大使館公使、同省経済局長などを歴任。3月15日付で駐カナダ特命全権大使の発令を受けた。
 国際情勢はロシアのウクライナ侵攻で緊迫の度を深める。「ウクライナ系住民は、ウクライナ本国を含めロシアに次いでカナダが世界で3番目に多く、140万人いる。今の副首相もウクライナ系で、ウクライナ情勢に強い問題意識を持っている。G7(先進7カ国)、NATO(北大西洋条約機構)のメンバーでもあり、カナダで起きている論議はしっかり東京に伝えなければならない」
 高校まで過ごした佐世保は思い出が深い。幼少のころ四ケ町で父親に肩車されていると、肩に乗った自分より背が高く見える米兵の姿に驚いた。「(原子力空母)エンタープライズが入港した時は、自転車で小高い丘まで走って眺めた。巨大だった」
 大学時代はロックや映画の自主製作にのめり込むが、薩長同盟を実現させた「外交家」としての坂本龍馬に啓発され、外交官を志した。「国民のため、日本のため、世界のため外交官になりたい」。初心を胸に赴任する。

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