190E、M3などドイツの名車が参戦! 「ドイツ・ツーリングカー選手権」で熾烈な戦いを巻き起こしていたマシーン3台をご紹介

2022年4月15日(金)から2022年4月17日(日)、千葉県・幕張メッセで開催された「オートモビルカウンシル2022」。2016年から開催され、今年7回目となる。今回は「ドイツ・ツーリングカー選手権」に参戦したモデルを3台紹介しよう。

AUTOMOBILE COUNCIL 2022(オートモビルカウンシル) DTM参戦車両 AUTOMOBILE COUNCIL 2022 DTM参戦車両

ドイツ・ツーリングカー選手権は市販車をベースにした欧州ナンバーワンを決める熾烈な戦いだった!

ドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)とは、市販車をベースにしたツーリングカーで行われるレースのこと。1984年から1995年までを第一期、その後2000年から現在まで開催され続けている第二期とに分かれる。

ドイツは主要な自動車メーカーが多く集まる国だ。そのためドイツの国内メーカーはもちろんのこと、欧州など他国の自動車メーカーも参加。そんな名門のメーカーが威信をかけて開発したハイテクマシーンが参戦し、F1パイロットを多数含む一流ドライバーが操り、接触をもいとわない激しいレースが楽しめるのがドイツ・ツーリングカー選手権だったと言える。

今回は第一期に登場したワークスマシンを紹介しよう。

1990年 メルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 Evo.II AMG

ラグジュアリーかつ権威的なイメージを払拭し、メルセデス・ベンツに若々しくスポーティーなイメージを植え付けるべく開発されたメルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 Evo.II AMG。4気筒2.5リッターエンジンを開発したのはイギリスの有名レーシングエンジン・コンストラクターのコスワース。

メルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 Evo.II AMG

宿敵BMW M3を打ち破るために大胆なエアロキットを採用したことが特徴的だった。極端に短いエアダム、ティアドロップ形状のオーバーフェンダー、高くそびえたリアウイングなどは500台生産されたロードゴーイングカーにも標準装備されたものだ。

1990年からドイツ・ツーリングカー選手権に参戦開始し、91年こそアウディに敗れてしまったが、92年にドライバーズタイトルの1、2、3位を独占する快挙を果たした。

メルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 Evo.II AMG

1987年 BMW M3 シュニッツァー

先ほど紹介したメルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 Evo.II AMGのライバルとも言えるBMW M3。ドイツ・ツーリングカー選手権の前身であるドイツ・レーシングカー選手権からBMWはドイツ、そしてヨーロッパで開催されるツーリングカー選手権の代表選手と呼べるほど常連だった。

BMW M3 シュニッツァー

しかし1987年にドイツ・ツーリングカー選手権に参戦し始めたM3は、バイエルンの象徴とも言える直列6気筒ではなく、4気筒2.3リッターユニットを搭載。クランクシャフト長が短い直列4気筒の方が高回転、高出力を期待できたからだという。

この目論見は見事に的中し、デビューイヤーにして全10戦中5勝という圧倒的な勝率を誇り、シリーズチャンピオンの奪取に成功。1988年、89年とシリーズ3連覇を果たすほど、当時無敵の戦闘力を誇っていた。

BMW M3 シュニッツァー

1993年 アルファロメオ 155 V6 TI アルファ・コルセ

ドイツ・ツーリングカー選手権にイタリアからの刺客として参戦していたのがアルファロメオ 155 V6 TIだ。車両レギュレーションでより大きな改造が認められた1993年から参戦を開始。

エンジンは高度なチューンが施されたV6 2.5リッターを搭載していた。アバルトがWRC(世界ラリー選手権)仕様のランチア・デルタ・インテグラーレ用に開発したフルタイム4WDと組み合わせたモンスターエンジンだ。

アルファロメオ 155 V6 TI アルファ・コルセ

ドライバーはニコラ・ラリーニやアレッサンドロ・ナニーニといった元F1ドライバーをそろえ、監督には元ランチア・ワークスドライバーなど、イタリアンオールスターチームと言える豪華なメンバーだ。デビューイヤーで22戦中13勝を記録。うち11勝を挙げ、チャンピオンマシンとなったモデルが今回展示された。

アルファロメオ 155 V6 TI アルファ・コルセ

【筆者:篠田 英里夏(MOTA編集部)】

© 株式会社MOTA