“資金調達不安”も可決 長崎県議会総務委、IR計画案

 長崎県が佐世保市のハウステンボスへの誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート施設(IR)について、県議会総務委員会は19日、国へ申請するIR区域整備計画の議案を全会一致で可決した。同計画案には総額約4383億円の資金調達先となる金融機関や出資企業名はなく、委員から不安視する声は聞かれたが、明確な反対意見はなかった。
 同計画案は、県とIR設置運営事業予定者「カジノオーストリアインターナショナルジャパン」(CAIJ)が作成。資金調達の内訳は、金融機関からの借り入れなどが約2630億円、企業からの出資が約1753億円を想定している。総務委では、資金調達先が明記されず、計画の実現可能性を疑問視する意見が相次いだ。
 県は「企業側の意向で公表できない」「計画に(企業名は)必ずしも記載する必要はない」などと説明。出資企業や金融機関が提出したコミットメントレター(融資・出資の意思表明書)を計画に添付し、国に申請する考えを示した。
 委員からはレター数の公表や部分開示を求める意見も出たが、県は応じなかった。一方、集まったレターに基づく総額は「5千億円を超える」と明らかにしたほか、世界最大手の事業用不動産サービス企業CBRE(米国)が資金調達を支援すると説明し、「計画実現の蓋然(がいぜん)性はあると考える。区域認定獲得に向け全力で取り組みたい」とした。
 議案は20日の本会議で可決される見通し。県は28日までに国へ申請する。IRは大阪府・市、和歌山県も誘致を表明。国は最大3カ所を認定する。


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