<池袋暴走事故から3年・交通事故ゼロの未来へ>思い出に残る免許返納を…感謝の“卒業証書” 警視庁深川警察署

東京・池袋で親子2人が死亡・9人がけがをした事故が起きてから3年がたちました。この事故がきっかけで全国では高齢者などの自動車運転免許の「免許返納」が進みました。免許返納と、自主返納を促すために独自の取り組みを行っている東京都内の警察署を取材しました。

江東区にある深川警察署で警察署員から女性に手渡されたのは、深川警察署が運転免許証を自主返納した人に感謝を込めて手作りした独自の「卒業証書」です。卒業証書には「あなたは運転免許証を自主的に返納し、自動車の運転を無事に卒業されました」と書かれています。これは、さまざまな思いで免許を返納する人たちに何か思い出に残るものはないかと深川警察署の係員が考案しました。卒業証書を考案した深川警察署の矢島唯巡査長は「自主返納しようと大きな決意をしてくれているので、それをただ受けるだけでは申し訳ないというのと、運転を無事に"卒業”していただく、自主返納してもらったことに対して感謝の気持ちを込めて『卒業証書』を作ったら喜んでもらえるのではないかと思った」と話します。

今津恵美子さん(81)は50年以上にわたって車を運転してきましたが、ここ数年運転に不安を覚えるようになり、今回、免許の自主返納を決めたといいます。卒業証書を受け取った今津さんは「長い年月運転し自動車免許を持っていたので、ありがたい気持ちと達成感。自分で今までやってきたことが報われたというか、これから先も自分で今までやってきたことがよかったんだなってことが人の役にも立つし、自分自身の役にも立つし、非常によかったと思う」と話しました。

卒業証書を受け取って気持ちよく運転から卒業してもらおうという取り組みを深川警察署は2021年10月から始め、半年ほどで71人に卒業証書を送りました。深川署の村山勉交通課長は「免許の自主返納は一大決心が必要かと思う。運転を趣味にしている人や生活の一部になっている人もいて、なかなか返納することが難しいかと思う。なので、運転に不安を抱えている人や家族に勧められて検討している人は、相談でもいいので警察署に来ていただければ」と話し、少しでも運転に不安を覚えたら気軽に警察署を訪れてほしいと訴えています。

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