<金口木舌>吉野家常務の女性蔑視発言

 記者やライター、編集者などが参考にする共同通信の「記者ハンドブック」がこの春改訂された。「ジェンダー平等への配慮」が初めて章立てされたのが大きな特徴だ。背景にはジェンダー問題への関心の高まりがある

▼ジェンダーへの配慮を欠いた表現は「悪気はなかった」では済まされない時代だ。牛丼チェーン「吉野家」の常務が女性蔑視発言で解任された。「生娘がシャブ漬けになるような企画」という言葉からは、薬物依存という社会問題への関心の薄さ、女性を見下す価値観が透けて見える

▼マーケティングのプロの発言なのも問題が根深い。広告に無意識の偏見が入り込み、炎上した例は多い。無知な女性像はその代表例

▼以前取材した県内企業の経営者は「ESG(環境・社会・企業統治)が投資の判断基準となっている。これからはお客様と価値観を共有できる企業しか残らない」と断言していた

▼ジェンダー平等もその価値観の一つだ。誰もが自分の中にある無意識の偏見に気付き、価値観をアップデートし続けるしかない。

© 株式会社琉球新報社