相模原に公立夜間中学23日開校 どう支える、新入生7割弱は外国籍 

自主夜間中学「えびなえんぴつの会」で勉強する牧山さん=海老名市さつき町

 神奈川県内で3校目となる公立夜間中学の相模原市立大野南中学校分校夜間学級(相模原市南区)が23日、開校する。かつて夜間中学は戦後の混乱期に生活の困窮などから学校に通えない人たちが学ぶ場だったが、近年は外国籍の人たちも多く入学している。相模原の夜間中学に入学予定の7割弱は外国籍。同校は学習面だけでなく、日本語習得や生活のサポートにも取り組む。

◆日本の高校へ進学を

 「文章は読めるけれど、書かれている意味が分からないことがある」

 夜間中学の入学式を目前に控え、新入生でフィリピン国籍の牧山裕之さん(16)は流ちょうな日本語でそう話す。

 日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれ、幼少期を除き、フィリピンで育った。中学2年まで現地の学校で学び、父親の仕事の都合で昨年3月に来日した。日常会話はできるが読み書きはサポートが必要で、昨年夏ごろから週に2~3回、海老名市内の市民団体が開催する自主夜間中学「えびなえんぴつの会」でボランティアの講師と一緒に国語などを勉強している。

 日本の高校への進学を目指し、夜間中学3年への入学を決めた。「日本語を母国語とする友だちと話せるのが楽しみ」と意気込む一方、「1年でどれほど出来るようになるだろうか」と不安も口にする。

◆個々のレベルに応じ

 相模原市立夜間中学の初年度入学予定者は10~60代の18人。うち、12人が中国やフィリピン、パキスタンなど6カ国の外国籍を持つ。日本語習得レベルは生徒によって異なるため、授業では複数の講師が巡回し、個々のレベルに応じて随時サポートするという。日本語指導講師も2人配置し、日本語を習得していない生徒を対象に日本語指導の時間も設ける。

 国内で暮らす外国籍の人たちのルーツは多様で、国によって教育水準も異なる。家庭の事情などで、母国で十分な教育を受けられなかった人は少なくない。義務教育の年齢を過ぎると中学に入ることはできず、中学卒業同程度の学力があることを示す「中学校卒業程度認定試験」や高校入試は、高いハードルとなっているという。

© 株式会社神奈川新聞社