プロ入りする選手の共通点は「関節」 社会人指導の名トレーナーが語る好選手の身体

社会人野球チームでテクニカルアドバイザーを務める浜田典宏さん(右)【写真:本人提供】

浜田典宏さんは燕・吉田や広島ドラ2・森らを指導してきた

社会人野球の「明治安田生命」「三菱重工West」「三菱重工East」でテクニカルアドバイザーを務める浜田典宏さん。明治安田生命から2018年ドラフト8位でヤクルト入りした吉田大成内野手、三菱重工Westから2021年ドラフト2位で広島入りした森翔平投手、同5位でロッテ入りした八木彬投手らを見てきた。プロに進む選手には、どんな特徴があるのだろうか。共通点を語ってくれた。

浜田さんによると、圧倒的なパワーやスピードもさることながら、身体の柔軟性に富んでいる選手が多いという。しかも、ただ柔らかいだけではないという。

「しなやかな動きができると、スカウトからも注目されます。ただ、関節が緩すぎると不安定で怪我をしやすく治りにくいという傾向もあります。柔らかさがあり、かつ関節を安定させる強さも必要です。身体を柔らかくするにはストレッチが大切ですが、遺伝的な要素もあると思います。選手の父親の身体を見せてもらったこともありますが、選手と似ているところがありました」

身体が硬くてもそれが安定感につながることもあるため、自分の身体をよく理解し、順応させる力が必要だと指摘する。また、野球は身体の左右でアンバランスが生じやすいスポーツなので、そのケアも重要になってくる。

社会人野球チームでテクニカルアドバイザーを務める浜田典宏さん【写真:本人提供】

「プロ入りするような選手は身体の変化に気付くことができる」

「例えば右投げ右打ちの選手の場合、身体の片側だけを使っているので、歪みが生じやすい。プロ入りするような選手は自分の身体の変化に気付くことができ、身体の張った感じや動作の違和感なども細かく訴えてきます」

進化を目指して身体を大きくしたり、フォームを変えたりする選手もいる。しかし、それが合わないリスクも伴う。成績を残せる選手は再現性に秀でていて、自分がイメージした動作を繰り返すことができるという。

「与えられたメニューをこなすだけではなく、フィジカルとスキルを統合できる選手が結果を出していると思います。自分の身体と繊細に会話ができ、その能力が高い選手でなければプロには行けないし、プロに入っても生き残っていけないと思います」

「自分に合った調整方法を見つけ、多くの選手に飛躍のきっかけを掴んでもらいたい」と浜田さん。期待を込め、日々指導に当たっている。(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)

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