長崎IR、県議会可決 国に認定申請へ 2027年開業目指す

IR区域整備計画案の承認議案を可決した県議会臨時会=県議会議場

 長崎県が佐世保市のハウステンボスへの誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート施設(IR)について、県議会は20日の臨時会本会議で、IR区域整備計画案を承認する議案を賛成多数で可決した。県は期限の28日までに国に認定申請する。
 同計画案は県とIR設置運営事業予定者の「カジノオーストリアインターナショナルジャパン」が作成。2027年秋ごろの開業を目指し、総額約4383億円の資金調達を予定しているが、金融機関や出資企業名を明らかにしていない。
 本会議の討論で、堀江ひとみ議員(共産)は資金調達の実現可能性や経済波及効果に疑問を呈し、「(多くの)人生がギャンブル依存症、借金苦、犯罪などで壊される。無謀な事業はきっぱりやめるべきだ」と反対意見を述べた。
 一方、賛成の立場から宅島寿一議員(自民)は「県は九州一体となった推進体制の構築や機運醸成、依存症対策などの取り組みを進めてきた。IRは本県のみならず、九州の地方創生、国の発展にも貢献する」と主張した。
 採決は議長を除く議員45人のうち、共産と社民の計3人が反対し、最大会派の自民など42人が賛成した。
 終了後、大石賢吾知事は報道陣に対し「議決に感謝している。これがゴールではなく、新しいスタート。(国の)区域認定を勝ち取るよう努力したい」と述べた。
 長崎IRは、施設の延べ床面積が64万2100平方メートル(暫定計画値)。この2.82%に当たる1万8106平方メートル(同)が主にカジノ行為に利用する区画。バカラなど富裕層向けのゲームができるテーブルを約400台、スロットなどの電子ゲームを約3千台配置する。このほかMICE(コンベンション)施設や約2500室の宿泊施設、日本の魅力を発信する施設「ジャパンハウス」、先端医療のメディカルモールも整備する。年間来訪者約673万(延べ840万)人を見込む。
 国は最大3カ所を認定する。


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