「黒い雨」被爆者認定新基準 山田議員「長崎も救済を」 大臣は難色、衆院厚労委

 広島原爆の「黒い雨」被害の救済に向け運用が始まった被爆者認定の新基準で、長崎の「被爆体験者」が対象外となった問題を巡り、立憲民主党の山田勝彦衆院議員(比例九州)が20日の衆院厚生労働委員会で「なぜ被爆地で差別するのか。広島同様(被爆体験者を)被爆者として認めるべき」と求めた。後藤茂之厚労相は「科学的根拠が得られていない」などと従来の国側の見解に沿って、被爆者認定に難色を示した。
 山田議員は長崎の被爆未指定地域について、米マンハッタン管区原爆調査団によって高い放射線量が記録されていると指摘、「この科学的根拠に基づき被爆者として認めるべきではないか」とただした。
 後藤氏は、被爆体験者が過去に2度、被爆者健康手帳の交付を求めた訴訟を最高裁まで争い、敗訴した経緯に言及。「マンハッタン調査団の結果も踏まえ、被爆未指定地域にいた方々が身体に放射能の影響を受ける事情にあったとは該当しないと判示されている」との認識を示した。一方で「過去の裁判例との整合性や黒い雨が降った地域を示す客観的な資料の有無などを整理する必要がある。長崎県、市の意見をよく聞いていきたい」と述べた。
 山田議員は「広島も長崎も同じ被爆地。これ以上、悲しみや失望を与えないで一日も早く長崎も救済してほしい」と訴えた。


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