【MLB】大谷翔平、快投を生んだ配球比率の変化 捕手が明かす理由「突然予定を変える」

6回12奪三振無失点の好投で今季初勝利を挙げたエンゼルス・大谷翔平【写真:AP】

この日はスライダーの割合が40%を超え、フォーシームはわずか23%に

■エンゼルス 6ー0 アストロズ(日本時間21日・ヒューストン)

20日(日本時間21日)に行われた敵地でのアストロズ戦で今季初勝利をマークしたエンゼルスの大谷翔平投手。6回途中までアストロズ打線を相手に1人の走者も許さないパーフェクト投球を展開し、6回1安打無失点の好投で勝利投手となった。

衝撃の奪三振ショーだった。初回に自ら左翼フェンス直撃の2点二塁打を放つなど、大量6点の援護をもらうと、初回からいきなり2つの三振。3回無死からは6者連続三振。6回までに先発全員三振で自身最多タイ12三振を奪った。6回1死からカストロに安打を浴びて完全投球こそ途切れたものの、アストロズ打線が手も足も出ないような投球だった。

この日、特に威力を発揮したのは斬れ味鋭く変化するスライダーだった。大谷は試合後に「どういうプランで、というのは決めていましたけど、それは徐々に変わっていくものなので。あくまでゲームの中で自分が感じたように、相手が何が一番打てないかを考えて投げました」と振り返る。自身の状態、相手打線の反応を見て、これまでと明らかに配球の割合を変えた。

この日が今季3試合目の先発マウンドとなった大谷。過去2度の登板では投球全体の40%超がフォーシームで、スライダーは30%前後。決め球となるスプリットは10~15%ほどだった。だが、この日はスライダーが81球のうち35球を数え、実に43%に上った。スプリットも19球あり、割合は23%だった。一方でフォーシームはスプリットと同じ19球しかなく、23%と今季の登板の中では最も少なかった。

マドン監督も目を細める「レポートに頼るタイプの男ではない」

この日の試合後、エンゼルスのジョー・マドン監督は大谷の投球について「彼はいつもこの球の調子がいいというのがあれば、それをどんどん使っていく。スプリットも傑出していた。彼はレポートに頼るタイプの男ではない。スカウティングレポートを必要としない。彼は相手のこと、自分の感覚を分かっており、自分が見たもの感じたものに従って攻めていく。スライダーが非常に良かったので、よし、スライダーを投げていこう、という感じだった」と、大谷の投球スタイルに理解を示す。

この日バッテリーを組んだマックス・スタッシー捕手も、このスライダーの多さをこう説明している。「彼の感覚が良かったんだ。ショウヘイによくあることだけど、今日はこの球種の調子がいいから、この球種に自信があるから、といって突然予定を変えるんだ。今日はそれがスライダーだったというだけさ」。当初のプラン通りだったわけではなく、試合が始まってから、スライダーの感触の良さを実感し、比率を増やしたようだ。

先発全員から12個の三振を奪ったこの日の大谷。スタッシーは「これまで見た中で最高レベルだったよ。全ての球種がスーパーシャープで、試合を通してかなり集中していた。アメージングだった。非常にいい登板だった」と、この日の大谷の投球を絶賛。変幻自在に配球を変えられる投球スタイル、そして状態の良さも相まって、この日の快投が生まれた。(Full-Count編集部)

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