エルトン・ジョンの記念碑的アルバム『マッドマン』の発売50周年記念リイシュー版が6月10日に発売

By 酒井裕紀

Elton John(エルトン・ジョン)の記念碑的アルバム『マッドマン』(原題:Madman Across The Water)の発売50周年記念リイシュー盤が日本ではCD3枚組+Blu-ray1枚のスーパー・デラックス・ボックス・セットとCD2枚組の2形態で、6月10日に発売されることが決定しました。※4枚組LPとLPは輸入盤での取り扱い

今回の発表にあわせて、50周年記念盤に収録される未発表音源「可愛いダンサー」のピアノ・デモが本日、アーカイブから新たに公開されました。1971年春、ロンドン中心部にあるディック・ジェームズ・スタジオで録音されたこの音源では、エルトンのみが一人でピアノを和やかに演奏。後のバンド・ヴァージョンの指針となっています。

LP4枚組ボックス・セット(日本では輸入盤のみ)には、スーパー・デラックス・ボックス・セット(3CD+1Blu-ray)の音源部分のみを収録。両ボックス・セットには、アルバム制作関係者のインタビューを含むヒストリー解説と、“ロケット・アーカイブ”から蔵出しした思い出の品々の写真やアートワークを掲載したブックが同梱されています。

また本作は、コレクター向けのブルー&ホワイト・カラー盤LP(日本では輸入盤のみ)としてもリリース。こちらは、オンライン及び独立系CD店でのみでの限定販売となっています。

ヒット曲「可愛いダンサー(マキシンに捧ぐ)」(原題: Tiny Dancer)や「リーヴォンの生涯」(原題: Levon)を生み出した『マッドマン』は、デビューから僅か2年後に発表された、エルトン4作目にあたるスタジオ・アルバム。1971年にレコーディングされた本作は、やがて世界的アイコンとなるエルトンにとって、目が眩みそうなほど数多くの作品を世に送り出した10年間の基盤となったアルバムです。

『マッドマン』収録曲の大部分が書かれたのは、エルトンが初めてアメリカに進出した後のこと。このアメリカ進出は、作詞家バーニー・トーピンにとって、それまで映画やテレビの画面や紙面・誌面を通じてしか見たことのなかった風景や人々を直接目の当たりにする機会ともなりました。

1971年の2月と8月、ロンドン中心部にあるトライデント・スタジオで録音された本作は、エルトン・ジョン・バンドの伝説的ラインナップ5人(ディー・マレイ、ナイジェル・オルソン、デイヴィー・ジョンストン、レイ・クーパー)の全員が参加した最初のアルバムでした。また本作には、イエスのキーボード奏者リック・ウェイクマンも参加しており、3曲でハモンド・オルガンを披露しています。

『マッドマン』がリリースされた70年代初頭当時、英国ではまだエルトンの人気はふつふつと沸き起ころうとしているところでしたが、米国ではこの9曲は即座にリスナー達の広い関心を呼び、ビルボード全米アルバム・チャートでトップ10入りを果たしました。

本作からは、「リーヴォンの生涯」と「可愛いダンサー(マキシンに捧ぐ)」のヒット・シングル2曲も生まれ、いずれも全米トップ50にランクインしています。「可愛いダンサー(マキシンに捧ぐ)」は長年にわたり、エルトン・ファンにとって大切なとっておきの隠し玉でしたが、現在では世界中のファンから最も愛される曲の一つとなっており、世界的なストリーミング回数では「ロケット・マン」(原題: Rocket Man)と「僕の歌は君の歌」(原題: Your Song)に次ぐ第3位となっています。

エルトンが米国で初めてコンサートを行った当時のカリフォルニアの熱気や興奮を巧みに捉えたこの曲は、キャメロン・クロウ監督の名作映画『あの頃ペニー・レインと』(原題: Almost Famous / 2000年公開)で使用され、驚くべき効果をもたらしました。「リーヴォンの生涯」と「可愛いダンサー(マキシンに捧ぐ)」は、今日に至るまでライヴの人気曲となっており、エルトンの記録破りのツアー〈フェアウェル・イエロー・ブリック・ロード〉のセットリストにも含まれています。

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