トム・クルーズ主演映画「トップガン」と「ハスラー2」で MA-1とビリヤードが大ブーム!  当時の若者が憧れていたすべてがあった「トップガン」続編 “マーヴェリック” も期待大!

公開間近「トップガン マーヴェリック」

2022年5月、映画『トップガン』の、じつに36年ぶりとなる続編『トップガン マーヴェリック』が劇場公開される。主演はもちろんトム・クルーズ。というか、「トム、もう59歳やん! まだ戦闘機パイロット役をやるんかい!!」…… と思ったら、前作の主人公マーヴェリックは、自身も学んだエリートパイロット養成所教官になっているとのこと。でもまあ、今なおハリウッドの最前線に位置するトムのことだから、老いたとはいえヒロイックな姿を見せてくれることだろう。

思い返せば、日本でトムが銀幕のヒーローとして認識されるようになったのは、まさに『トップガン』の頃だ。当時大学生だった自分も、それを皮膚感覚で覚えている。イケメン…… なんて言葉は、当時はなかったが、女子たちは「かっこいいよね~」と口をそろえていた。

右を見てもトム、左を見てもトム… 当時の若者が憧れた音楽とMA-1

ともかく、『トップガン』には当時の若者が憧れていたすべてがあった。イケメンのヒーローはもちろん、『フラッシュダンス』『ビバリーヒルズ・コップ』の仕掛け人ジェリー・ブラッカイマー&ドン・シンプソンの製作作品らしい流行の音楽。いまだによく耳にするケニー・ロギンス「デンジャー・ゾーン」、ベルリン「愛は吐息のように」などの挿入歌がビルボードのチャートを急上昇し、ラジオでもかかりまくっていた。

もうひとつ忘れてはいけないのが、ファッション。とくにトムが劇中で着ていたMA-1のフライトジャケットの人気は忘れ難い。ファッション誌に取り上げられたこともあるが、キャンパス内にこれを着ている人が日に日に増えていった。気づけばマーヴェリックのようなクルーカットも流行。右を見てもトム、左を見てもトム…… というと大げさだが、ブームであったのは間違いない。

もうひとつのトム・クルーズ主演映画「ハスラー2」

ブームや流行を冷ややかに見てしまう、へそ曲がりの大学生マナブは、正直、ケッ!と思っていた。そもそも戦闘機パイロットがヒーローになる映画がアメリカでヒットしたのは、「レーガン政権の右傾化の象徴じゃないか。けしからん!」…… などとリベラルを気取っていた時期。『トップガン』のようなメジャー作品よりも、ミニシアター映画を好んで観ていた生意気な学生である。まあ、今思えば、単に逆張りしていただけかもしれない。

そんなマナブも、同時期に公開されたトムのもうひとつの主演作『ハスラー2』は無視できなかった。マーティン・スコセッシ監督の新作となれば、映画好きとしては観ないわけにはいかない。これは1961年に製作された『ハスラー』の25年ぶりの続編で、同作の主演者ポール・ニューマンふんする初老のハスラーが、トム演じる若きビリヤード・プレイヤーに、持てるテクニックのすべてを仕込もうとする…… というお話。

トレンドセッター・トム・クルーズ、都内に続々とオープンしたブールバー

そしてこちらでも、トムは、ビリヤードという新たな流行を生んでしまう。都内に続々とブールバーがオープンし、興味をそそられ、恐る恐る覗きに行った。ここもまた、右を見てもトム、左を見てもトム。映画張りにキューをクルクルと回転させる人はさすがにいなかったが、この時期のトムが日本のトレンドセッターであったということは間違いない。

余談だが、『ハスラー2』は『トップガン』と同様、サントラはロックオムニバス。残念ながら『トップガン』ほどのヒットとはならなかったが、エリック・クラプトンが提供した「イッツ・イン・ザ・ウェイ・ザット・ユー・ユーズ・イット」をはじめ、スコセッシ作品らしい渋みのあるテイスト。クラプトンはこの頃、チャートに影響力を失いつつあったが、これを境に上昇カーブを描き、90年代への復活へとつながっていく。

MTV的センスが光る “スカイアクション” にして “青春ドラマ”

話を『トップガン』に戻そう。レーガン政権の時代も今や昔。右翼的先入観が抜け落ちてから見直した『トップガン』は、なかなか面白い。MTV的センスによってとらえられたスカイアクションは懐かしさを感じさせるし、何より青春ドラマとしてよくできている。

当時「かっこいいよね~」と言われたマーヴェリックも、よくよく見ると生意気な青二才。そんな彼の挫折と成長に、ドラマの肝がある。仲間の死のトラウマと格闘する主人公に、胸アツになってしまうではないか。

そんなワケで『トップガン マーヴェリック』をとても楽しみにしているのだが、今度はどんなドラマを見せてくれるのだろう? トレンドを追うほど若くない世代になってしまったが、劇中でトムがクールな老眼鏡をかけていたら、初老のマナブはつい買ってしまうかもしれない。

カタリベ: ソウママナブ

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