日本写真協会新人賞 西海市出身の田川さん 離島の風景収め、評価

田川さんの「見果てぬ海」(日本写真協会提供)

 長崎県西海市出身の写真家、田川基成さん=福岡県在住=が今年の日本写真協会賞の新人賞に輝いた。国内で写真作品を近年発表し、将来が期待される新人写真家に贈られる賞で、本県の離島の風景などを収めた写真集と写真展「見果てぬ海」が高く評価された。
 田川さんは中学時代まで同市の離島、松島で過ごした。編集者などを経て2014年に写真家として独立。移民と文化の変遷や、土地に刻まれた記憶などに関心を持ち、18年には千葉県で暮らすバングラデシュ人の移民家族を撮影した作品展で三木淳賞を受賞した。

田川基成さん(日本写真協会提供)

 「見果てぬ海」は20年に出版。故郷の海を知ろうと約4年をかけて五島列島や平戸市など県内の海辺の町を訪ね、人々の暮らしや信仰の場、自然が織りなす風景を収めてきた。

 同協会は受賞理由について、「長崎の風景や人々などを歴史や宗教といったさまざまな視点で捉え、単なる一地方の記録に収まらない。スケールの大きな作品」と説明。田川さんは「自分にとって初めての作品集で思い入れが強い。故郷を撮影した作品で受賞できたことは意味があること。励みになる」と話した。
 田川さんを含む受賞者の作品展は5月27日~6月2日、東京都港区の富士フイルムフォトサロン東京で開かれる。


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