日本代表、2022年にピークを迎えていなければならなかった10名

10代の頃に逸材と形容される選手は星の数ほどいる。

しかし若さそれ自体が期待になる時期とは違い、肉体的・精神的には最も充実するものの明確な結果を求められる26~30歳あたりでキャリアのピークを迎えられない選手も多い。

ここでは復活も願い、ワールドカップイヤーの2022年に「ピークを迎えていてほしかった日本の天才たち」を紹介しよう。

宇佐美 貴史

所属:ガンバ大阪(日本)

少年時代、ユース時代の宇佐美は“都市伝説”と形容されるほどの天才だった。

U-17W杯でネイマール以上の存在感を発揮すると、10代でバイエルンに加入。前評判通りだった逸材に対し、誰もがそこからの輝かしいキャリアを予感した。

しかしドイツでは失望の日々を送ることに。日本復帰後ガンバ大阪では得点能力を開花させ、2018年大会のメンバーに選出されたが大きな結果を残すことができなかった。

今年ちょうど30歳。年齢的にはこの2022年大会に全盛期を迎えてほしかったが、3月の試合で右アキレス腱断裂という重傷を負いサプライズ招集の芽も潰えている。

大島 僚太

所属:川崎フロンターレ(日本)

“日本のイニエスタ”ともいえる男の名前をここに挙げなければならないことが悲しい。

川崎フロンターレではクラブの英雄である中村憲剛の良き仲間、そして後継者として確固たる地位を築いているが、日本代表ではポジションを確立できていない。

理由はやはりケガであろう。ここ一番という時には必ず負傷し、チャンスを何度もフイにしてしまった。現在も2月23日のトレーニング中に右腓腹筋肉離れを起こしリハビリ中だ。

日本代表の3センターで川崎の選手が躍動している現状を考えるとあまりにも惜しい。

武藤 嘉紀

所属:ヴィッセル神戸(日本)

個人能力の高さでいえば、武藤は歴代日本人選手の中でも最上位に位置するだろう。

FC東京での大活躍、岡崎慎司の後を受け継いだドイツのマインツでも得点を重ね、プレミアリーグのニューカッスルへ移籍。ここでは高い壁に阻まれ日本に戻ったもののそのキャリアは確かなものだった。

しかし日本代表での彼の立ち位置は常に微妙だった。独力は高いのだが大迫勇也のように周りを生かせる選手ではなく、チームの戦術と合わない面があったからだろうか。

現在の縦に速いサッカーなら生きるのではないかとの想いもある。しかし今年3月2日の試合で左膝内側側副靭帯を損傷し全治約8~10週間と代表入りは険しい。

昌子 源

所属:ガンバ大阪(日本)

2018年ロシア大会で吉田麻也とセンターバックのコンビを組んだのは昌子だった。

当時25歳だったが、初戦のコロンビア戦では“伝説の男”ファルカオの封じ込めに成功。吉田との盤石のコンビで日本代表のベスト16入りに貢献した。

現在29歳という年齢を考えれば、昌子は本来この2022年カタール大会、さらに2026年大会も主力でいておかしくなかったはずである。

しかしロシア大会後に移籍したフランスのトゥールーズではケガもあり思うように活躍できず。日本に復帰して以降はかつてほどの安定感を発揮できないでいる。

柴崎 岳

所属クラブ:レガネス(スペイン)

名門・青森山田が輩出したレジェンドであり、宇佐美と同世代の天才MF。

鹿島に加入後はやや燻ったが、2016年のクラブワールドカップでクリスティアーノ・ロナウドやルカ・モドリッチらを擁するレアル・マドリーから2ゴールを記録しその名前は世界に知れ渡ることに。

日本代表でも、2018年ロシア大会でチームのベスト16入りに大きく貢献。“日本のピルロ”などと絶賛され、長く続いた遠藤保仁の後継者問題に完全に終止符を打った。

しかしスペインでは苦悩の日々を過ごしており、それが代表でのパフォーマンスにも大きく影響している。最終予選のサウジアラビア戦で敗戦に繋がるパスミスを犯して以降はベンチに。状況はかなり厳しい。

久保 裕也

所属クラブ:FCシンシナティ(アメリカ)

早くから欧州で実績を積み重ねた“もう一人の久保”は、リオ五輪世代の日本代表エースだった。

A代表にも定着し、ヴァイッド・ハリルホジッチ体制では右サイドのポジションを確保。ワールドカップ出場が確実視されたが、大会前のハリル電撃解任によりよもやの落選となった。

同大会は同じリオ世代のエース候補だった浅野拓磨も落選したが、その浅野はセルビアなどを流浪しながら復活を果たし、現在も日本代表に名を連ねている。

一方久保はそれ以降完全にパフォーマンスを落としており、現在はアメリカ・MLSの新規参入クラブであるシンシナティに所属している。

宮市 亮

所属:横浜F・マリノス(日本)

宇佐美貴史、柴崎岳とともにこの世代で脚光を浴びたのが宮市だ。

高校時代に“和製クリスティアーノ・ロナウド”と形容されたアタッカーは、高校卒業前にアーセン・ヴェンゲル監督のアーセナルと契約。爽やかな容姿もあり、瞬く間に日本屈指の人気選手となった。

彼の武器である脚力は間違いなく欧州でもトップレベルだった。しかしそれは同時に体への負担も強め、度重なるケガに悩まされることに。

出場すらままならない時期も長く、数クラブを渡り歩いた末に昨夏、横浜F・マリノスへと加入。これがキャリア初のJリーグでのプレーとなっているがポジションは掴めていない。

中村 航輔

所属:ポルティモネンセ(ポルトガル)

「川口能活の再来」と絶賛された逸材は、4年前の2018年大会で守護神の座を誰よりも期待された男だった。

しかし大会前に行われたJリーグの試合で頭部を強打した影響もあり川島永嗣の控えに止まると、さらに大会後の試合中にも意識を失うほどの脳振とうに見舞われる。以降はやや輝きが薄れてしまった。

昨夏移籍したポルトガルでは髭を生やし体型もややふっくらに。大きくイメチェンしたが今季は公式戦2試合にしか出場できていない。

まだ27歳だが日本代表には既に谷晃生、大迫敬介ら中村より若いGKが台頭しており、存在感が薄れてしまっている。4年でここまで変わるものだろうか。

小林 祐希

所属:江原FC(韓国)

彼が登場してきた時のインパクトを考えれば、今の状況は寂しい限りだろう。

左利きでその髪型、体型、背番号、“ビッグマウス”と形容された言動や振る舞いは、彼が尊敬する本田圭佑に瓜二つ。その本田のキャリアを辿るようにオランダに渡り、日本代表にも定着するかと思われた。

しかしそこからの彼は、そのヤンチャな振る舞いほどは突き抜けなかった。オランダのヘーレンフェーンではコンスタントに出場していたもののステップアップとはならず。

ヘーレンフェーン退団後はベルギー、カタールと渡り、昨年からは韓国でプレーしている。

中島 翔哉

所属:ポルティモネンセ(ポルトガル)

2022年大会は、中島翔哉が「10番」そしてエースとして迎えるはずだった。

4年前のロシア大会もサプライズ招集が期待されたが選出されず。しかし大会後には新生日本代表の「10番」として、香川真司や乾貴士を一瞬で忘れさせるほどの眩しい輝きを放った。

しかしながらポルトガルからカタールへの移籍以降、ケガや監督との衝突、家族の病気などさまざまなことが続けざまに彼を襲い、いつしか代表から姿を消してしまった。

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現在は古巣ポルティモネンセで再起を図っているが、日本代表の左サイドには人材が揃っており復活は容易ではないだろう。

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