当たる新庄ビッグボスの“勘ピューター” 采配の精度を高める的確な“目”と助言

日本ハム・新庄剛志監督【写真:荒川祐史】

万波のスタメン起用を前日の試合で喫した三振で決めた新庄監督

■日本ハム 12ー5 ソフトバンク(22日・札幌ドーム)

日本ハムは22日、本拠地・札幌ドームでソフトバンクに12-5と大勝した。新庄剛志監督の打撃指導を受けた万波中正外野手が初回に3ランを放つなど、今季最多12得点と打線が爆発。日替わりで打線を組むビッグボスの“勘ピューター”が冴えた。

試合前に万波の活躍を予言していた新庄監督は「当たったでしょ!」と満面の笑みを浮かべた。スタメン起用を決めたのは、前日21日の敵地での楽天戦。9回2死から代打に送った万波が松井裕の直球を空振り三振した時に「あの三振がすごく良くて。これは何かしてくれる」と確信したという。

実は21日の試合前練習中に、直接打撃指導していた。「外のボールを中途半端に振ることが多かったので、変えてみようと思って」と出した指示は「高~いピッチャーフライを打ちなさい」。その狙いについて指揮官は「自分ではものすごくアッパースイングしている(感覚な)んだけど、ビデオで見るとそんなことないんですよ。俺もファイターズ最後の年にそれをやって、意外とコンパクトに内から外に、前が大きいスイングになる」と実体験に基づく助言だった。

初回2死一、三塁から初球のカットボールを左翼席に運んだ万波は、素直に感謝した。「練習の時に、天井に向かって打てと。キャッチャーフライを打つくらい、大袈裟にやってみてと。それがいい結果につながったと思います。(バットを)上から出したいという思いがすごく強かったので、だんだん肩も体も被っていくような感じになっていた。それを見かねてのアドバイスかなと」と指揮官の意図をくみ取り、すぐさま結果を出した。

「野球の成長というより、人間の成長を先にやっている段階なんで」

この日は、前日の楽天戦で2号アーチと適時打を放った今川優馬外野手がスタメンを外れ、代わりに先発した万波が3ランを含む2安打4打点と活躍。高いレベルの競争が始まっていることに、新庄監督は手応えを感じている。

「(結果を出した選手を)使い続けていきたいのはやまやまなんだけど、競争をしていくチームでやっていきたいから。(先発で出られなくても)次があるから気持ちが切れない。昨日、今川君が打ったら、万波君が励まして。今日は逆。チームワークも上がっていくし、競争力も上がっていく。最高じゃないですかね。野球の成長というより、人間の成長を先にやっている段階なんで。(オーダーを)コロコロ変えるなって言われるけど、いいんですよ。ここから固めていく」

激戦区になった右翼のポジションに、次は誰を使うのだろうか。2人の名前を出さずに「浅間君」と笑った新庄監督は続けた。「寝る時に、いろんなデータとか、今日の練習のスイングとか、ベンチでどれだけ元気が良かったかとかを考えて、打順を組んでいこうかなと思いますね」。ビッグボスも万波もこの日の予言を“勘ピューター”と呼んだが、勘ではない。選手の状態を見極める確かな目と的確な助言でチームを進化させていく。(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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