うどんといえば、どんなイメージがありますか?
讃岐うどんのように、強いコシのある麺の印象が強いかもしれません。
福山市内にはコシの強いうどんとは少し違った、”モッチリとした食感”のあるコシのうどんをつくる店があります。
その店は「饂飩屋 康平衛(うどんや こうべえ、以下:康平衛)」です。
麺のほかにも、ダシは「ホッとするような味」のやさしい味わい。
さらにいろいろな日替わりおかずと、たきこみごはんが楽しめる「うどん弁当」や、天婦羅や天丼のセットメニューも充実しています。
シンプルな「茹で立て」のうどんも人気です。
饂飩屋 康平衛のこだわりや魅力について、深掘りしていきます。
饂飩屋 康平衛は福山市王子町にあるうどん店
饂飩屋 康平衛は福山市王子町、国道2号線の近くにあるうどん店です。
こだわりの小麦を使い、包丁切りにこだわった手打ち麺。
国産を中心とする厳選した食材からとったダシなど「職人のつくった味」が自慢です。
店主の岡野さんは愛媛県松山市の人気うどん店で修業し、1995年(平成7年)6月に福山市中心部で康平衛を創業。
その後、郊外の現在地に移転しました。
そんな康平衛は『ミシュランガイド 広島 2013年特別版』をはじめ、多くのメディアで紹介されている人気店です。
康平衛の席数は、全部で22席。
カウンターが3脚、3人がけテーブル席が1卓、4人がけテーブル席は4卓あります。
康平衛は国道2号線のすぐそばで駐車場もあるので、車でアクセスしやすいのもポイントです。
饂飩屋 康平衛のメニュー
2023年(令和5年)3月時点の情報。 価格は消費税込
まず、うどん単品メニューから紹介します。
康平衛のうどんは大きく「ぶっかけ」「茹で立て(ゆでたて)」「汁うどん」の3種に大別されています。
続いて、セットメニューを紹介。
セットメニューは、天丼や天婦羅などとのセットが多いです。
ちなみに単品のうどんにプラス料金で、以下のセットにもできます。
うどん弁当のほかにも、平日限定のメニューとして「ころからセット」と「玉子かけご飯セット」もあります。
ころからセットは、コロッケと鶏のから揚げにごはんが付くセット。
玉子かけご飯セットは、玉子かけご飯・ちくわ天に漬物が付くセットです。
また、うどん以外の一品料理も充実しています。
そのほか日替わりの一品料理もあり、内容は店内のホワイトボードで確認可能です。
なお、さきほど紹介したうどん弁当の内容もホワイトボードに書かれていました。
また康平衛では、一部のメニューの持ち帰りができます。
持ち帰りの場合は、事前に電話予約ができます。
なお、店内飲食の予約はできません。
饂飩屋 康平衛の人気メニュー・おすすめメニュー
康平衛では、とても多くのメニューをラインナップしています。
そのなかから、人気のメニューや店のおすすめメニューを紹介しましょう。
「かまだし」は茹で立ての麺の味わいをストレートに楽しめる
茹で立ての麺の味わいをストレートに楽しめるのが「茹で立て」系のうどんです。
茹で立てのうどんのなかでファンが多いのが「かまだし」(700円)。
かまだしは、一般的に「釜玉」と呼ばれるうどんです。
冷水で締めていない茹で立てのうどんに、刻みネギと天カスをかけ、生卵をからめながらダシ醤油をかけて食べます。
生卵の黄身のまろやかな風味とダシ醤油が混じり合って、なんともいえない味わいになりました。
そして黄身とダシ醤油と麺をシッカリと絡めて、食べていきます。
茹で立ての熱々のうどんは、モッチリとしながらしなやかさも感じられます。
そして麺の味わいと黄身のまろやかさ、ダシ醤油の風味が絡み合って、絶妙なおいしさだと思いました。
「エビ入り野菜かきあげうどん」は豪華なかきあげ入りのインパクトあるうどん
セットで天婦羅系のメニューが人気ですが、単品でも天婦羅付きのうどんは人気があります。
天婦羅付きのうどんは数種類あり、とくにお得なのが「エビ入り野菜かきあげうどん」(1,020円)です。
大きめのエビに野菜がタップリ入ったかきあげが、うどんの上にドンと載っています。
まさにインパクト抜群の、おいしそうなビジュアルです。
エビは大きめサイズで、プリプリとした弾力があり食べごたえがあります。
エビの風味もフンワリと広がってきました。
かきあげに入っているエビ以外の具材は、ゴボウ、ニンジン、タマネギ、カボチャ(ナンキン)、シュンギク、インゲン。
とても具だくさんで、お得です。
取材時、時季の野菜としてはシュンギクが入っていました。
シュンギクのほのかに感じるさわやかな苦味が、かきあげの衣の風味と意外とマッチしておいしかったです。
また、ツユのあっさりとしたダシの風味やほのかな塩味とシュンギクも相性がいいと思います。
ツユのやさしい味わいに、かきあげの衣の風味が加わって、おいしさが増していきました。
ここにゴボウやニンジンなどの食感、タマネギのほのかな甘味など、野菜の食感や味わいが加わります。
麺を食べると、モチモチとした弾力のある、やや柔らかなコシ。
ツルツルとしたのど越しのよいうどんで、とてもおいしいです。
「ぶっかけうどん」は具だくさんで、濃いめのツユをかけて食べる
康平衛では、ぶっかけうどんも人気があります。
ぶっかけうどんは数種類ラインナップしていますが、おすすめは「ぶっかけ」(820円)です。
ぶっかけは、温かいものと冷たいものが選べます。
ウズラの卵に刻みネギ、刻み油揚げ、ゴマ、カツオ削り節、刻みネギ、ダイコンおろし、おろしショウガ、天カスと、とても具だくさんです。
これに濃いめのツユをかけ、よく混ぜ込んで食べていきます。
甘辛いツユの味わいとうどんの風味、さまざまな具材の味が混ざり合い、複雑な味わいを楽しめるのがぶっかけの醍醐味。
ぜひ味わってみてください。
「うどん弁当」は日替りおかずと炊き込みごはんが付く平日限定のお得セット!
セットメニューのなかでとくに人気なのが「天丼セット(1,150円)」と「うどん弁当(990円)」です。
とくにうどん弁当は、平日に非常によく出るとのこと。
そのため、うどん弁当は平日限定のメニューです。
なお、うどんは温と冷から選択できます。
取材時の注文は、温のうどんにしました。
うどん弁当は、うどんといっしょに重箱入りの弁当が付くセットです。
弁当は日替わりのおかず数種類と、たきこみごはんという内容。
訪問時のおかずは、以下のものでした。
- 生野菜サラダ
- キュウリの淺漬け
- ミンチカツ
- ジャコおろし
- ササカマボコ
- 玉子焼
- キャベツとコンブの和えもの
うどん弁当の内容は、店内のホワイトボードで確認できます。
うどん弁当に付くたきこみごはんは、ほんのりとした薄めの味付け。
ゴボウやニンジンなどの具材が入っています。
ところどころあるお焦げが香ばしくて、おいしいです。
温うどんは、かけうどんに天カスを加えたうどん。
ツユは透明感があって、きれいな色をしています。
アッサリとしたやさしい味わいで、口の中に広がるダシの風味と、ほんのりとした塩味がとても心地よいです。
さきほど紹介した、エビ入り野菜かきあげうどんと同じく、麺はモチモチとした弾力感があります。
うどん弁当はうどんと炊き込みごはん、いろいろなおかずが楽しめてとてもお得だと思いました。
たくさんのおいしそうなうどん、お得なうどんセットなどを提供する饂飩屋 康平衛。
店主の岡野康平(おかの こうへい)さんへインタビューをしました。
饂飩屋 康平衛の店主・岡野 康平さんへインタビュー
たくさんのおいしそうなうどん、お得なうどんセットなどを提供する饂飩屋 康平衛。
店主の岡野康平(おかの こうへい)さん開業の経緯やうどんのこだわり、今後の展望などの話を聞きました。
インタビューは2022年4月の初回取材時に行った内容を掲載しています。
松山の名店で修業して独立
──開業の経緯を知りたい。
岡野(敬称略)──
もともとは、家業を継いで製麺業の仕事をしていました。
それがあるときフッと飲食店をやりたいと思い、気づいたらうどん店の道に歩むようになっていたんです(笑)。
私は人付き合いや会話が苦手で、接客なんて無理だから飲食店にはずっと向いていないと思っていました。
しかも、うどんよりもラーメンのほうが好きでしたし(笑)。
それなのに飲食店、しかもうどん店になったのは、「うどんの神様」というのがいて、私をうどんの世界に引き入れたんじゃないかと思うんですね。
──うどんの修業は?
岡野──
知人の紹介で、愛媛県の松山市のうどん店・久兵衛(きゅうべえ、現在 閉店)で修業しました。
うどんづくりに関しては、非常に厳しい人でしたね。
1年間くらい学びました。
康平衛でのうどんのつくりかたは、修業先のつくりかたと同じです。
メニューの多くも修業先と同じなんですよ。
創業の地は福山中心部・延広町
──店を開業したのは、いつ?
岡野──
店を開いたのは、1995年(平成7年)の6月です。
最初は、私の生まれ故郷である因島で店をしようと思っていました。
でもいい物件がなかったんです。
そこで因島に近い、尾道市街地で探したんですが、こちらも物件がありませんでした。
そして隣の福山市で探し、物件を見つけたんです。
店を開業したのは現在地ではなく、福山中心部の延広町でした。
店名の「康平衛」は、私の名前の康平と修業先の店名から一字もらい、組み合わせたものです。
店名の前に付く「饂飩屋」というのも、修業先と同じなんですよ。
──現在地に移転したのは?
岡野──
2009年(平成21年)6月に移転しました。
時代の流れで、福山でも自動車社会にあわせて郊外の店が増えていきました。
ですから、当店も郊外で駐車場を完備していたほうがお客様が訪れやすいと思ったからです。
時代によって変わる客の好みに合わせたうどんづくり
──うどんづくりのこだわりを知りたい。
岡野──
麺に使う小麦粉は、国内産と豪州産の高級なものを半分ずつですね。
昔とは、小麦粉の種類や配合は変わっています。
というのも、昔とはお客様の好みが変わってきているからです。
今のお客様は、モッチリとした弾力感のあるコシのうどん麺を好む傾向があります。
お客様が好む味わいを再現するのに最適な種類や配合を試行錯誤した結果、現在の組み合わせになりました。
ただし、麺のつくりかた自体は変えていません。
変化しているのは、小麦粉の種類や配合です。
あとうどんを食べたときの、舌触り・歯茎触りとのど越し、のどを通ったときに感じる小麦粉の風味を大切にしています。
──麺は包丁切りにこだわっていると聞いた。
岡野──
包丁がついた「麺カッター」という道具にこだわっています。
麺カッターだと、微調整がしやすいのがポイントです。
包丁を上げる高さ(落差)を変えることによって、麺の太さを変えられます。
気候に合わせてうどんの太さを調整しているのですが、それを自分のサジ加減で調整できるのがメリットですね。
──ダシについては?
岡野──
ツユのダシは、昔と変えていません。
ダシを取るのに使っている食材は、広島県を中心とする瀬戸内海産のイリコ、鹿児島県枕崎産の本カツオの厚削り節、北海道利尻産の島物のコンブなど。
さらに、鹿児島県枕崎産の花カツオ、ムロアジ(熊本県産)やサバ(静岡・熊本・愛媛県産)・ウルメイワシ(熊本・愛媛産)の混合削り節も使っています。
ツユを飲んだとき「ホッと落ち着くような味」を目指してダシを取っているんですよ。
あと当店のツユは、他店に比べて塩分は少なめだと思います。
やさしい味わいですね。
自分のペースでうどんづくりを続けていきたい
──今後の展望ややってみたいことを教えてほしい。
岡野──
以前は昼夜営業していましたが、実は還暦を迎えたら昼だけの営業にしようと思っていました。
ケガしてしまって予定より少し早まりましたが、今は昼だけの営業にしています。
あとは自分のペースで、うどんづくりを続けていくだけですね。
それとかつての私がそうだったように、うどんづくりを教えてほしいという声があれば、うどんづくりを教えてもいいかなという思いもあります。
こだわりのうどんが楽しめる康平衛
康平衛のうどんはまさに「匠の味」ともいえる、こだわりと熟練の技が感じられました。
しなやかでモッチリとした麺と、ダシの風味が広がるあっさりとしたやさしい味わいのツユは絶品だと思います。
シンプルなかまだしも、おいしかったです。
うどん弁当や天丼セットなど、お得なセットメニューもおすすめ。
国道2号線のすぐそばでアクセスしやすいので、康平衛のうどんを食べてみてはいかがでしょう。