詐欺と強制わいせつの産科医に懲役4年求刑 沖縄市の診療報酬詐欺

 実際には行っていない手術をしたように装うなどして診療報酬計約374万円をだまし取ったほか、クリニック内で女性職員にわいせつ行為をしたとして、詐欺と強制わいせつの罪に問われた沖縄市の産婦人科医院長で医師(53)の公判が22日、那覇地裁沖縄支部(林田海裁判官)で開かれた。検察側は懲役4年を求刑し、弁護側は執行猶予付き判決を求め、結審した。判決は5月12日。

 この日の被告人質問で医師は「大変なことをした。申し訳ありません」と謝罪。架空請求をした理由に「経済的に苦しい患者の自己負担を減らすためだった」などと述べた。不正に得た診療報酬はクリニックの運営費などに充てたとした。

 検察側は論告で、起訴された分だけでも約1年半で4回もの不正な請求をしており、常習的な犯行だと指摘。「一部の診療報酬を返還していることなどを最大限考慮しても、一定期間矯正施設に収容し、規範意識の再生を試みるほかない」と述べた。

 弁護側は弁論で、必要のない薬品を投与したり、不必要な医療行為をしたりしたことはなかったと強調。「詐欺の動機は患者の負担を減らすためで、実質的に得た利益はほとんどない」と述べた。クリニックは事実上の閉院状態で、今後閉院の手続きをとるため、診療報酬請求をすることもないと主張した。

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