「妨害がなければ」「ロックはミスではない」「ダウンフォースが出ない」etc.【SF Mix Voices 第3戦予選】

 今季、全日本スーパーフォーミュラ選手権のセッション後に設けられている“メディア・ミックスゾーン”。設定された時間に全ドライバーが1箇所に集まり、同時にメディア対応を行うという、F1やWECなど海外レースではおなじみの取り組みだが、このコーナーではそこで集めたドライバーたちの“声”を、可能な限りお伝えする。

 悲喜こもごもの予選の裏では、いったい何が起きていたのか。第3戦鈴鹿予選終了後のドライバーのコメントをお届けしよう。

■笹原右京(TEAM MUGEN)予選19番手
 午前のフリー走行を5番手で終えていた笹原。予選でも上位争いに加わるかと思われたが、Q1・Aグループのセッションでは思わぬ事態が。アタックラップに入った1〜2コーナーで、国本雄資(KCMG)に行く手を塞がれてしまった(※国本には3グリッド降格のペナルティが科せられた)。

「僕はもう、Qランプをつけてアタックに入っていたのですが、国本選手が後ろに気づいていなかったのか分かりませんが妨害されてしまって。時間的にはまだ余裕はあったので次の周にアタックに行ったのですが、タイヤとしては完全にピークは過ぎてしまっていたので、もう……なす術ないですよね(苦笑)」

「フリー走行含めて、すごいクルマの調子は良くて、予選に向けた調整もよかった。チームメイトの野尻(智紀)さんがポールを獲っているのを見ると、最低限フロントロウは行ったかなという感じはあったので、もういまは言葉がないです」

「ほぼ最後列に近いと思うので、失うものは何もない。富士でもストールして最後尾から、というのを経験してるので、その経験も活かしてなるべくポイントを獲れるところまで上がりたい。富士から続く悪いものはいい加減出し切ったと思いたいので、レースでは絶対に諦めずにチャンスを作っていきたいと思います」

■宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)予選4番手
 予選4番手と好位置につけた宮田だが、Q2のアタック最終盤、シケインへの飛び込みでブレーキロック。その立ち上がりでも縁石の上でカウンターステアを当てており、タイムを失っていたものと思われる。

「(どれくらいロスしたかは)分からないです。ブレーキのロックの仕方もすごく不思議で、タイヤを見てもフラットスポットはできていないんですよ。なぜそうなったのかも分からないです」

「映像だけ見ると僕がミスったみたいになっているのですが、全然ミスはしていないですし、普通のブレーキングをしたらタイヤがロックしてしまった。(ブレーキングポイントを)行き過ぎたわけでもないです」

「これに対しては昨年から抱えていた問題で、テストや今回のフリー走行、Q1でも予兆がありました。この問題を解決することができれば、ポールポジションを獲れるところまできたというのが事実だと思うので、結果で見たら悔しいですけど、自分自身はそこまでショックではないです」

■佐藤蓮(TEAM GOH)予選15番手
 前戦富士では好走を見せたルーキー佐藤だったが、鈴鹿では朝のフリープラクティスから20番手と苦戦。予選Q1・Aグループでは突破ラインにコンマ2秒届かなかった。

「持ち込みの時点で相当セットアップを外してしまい、そこから修正して挑んだ予選ではかなり改善したんですが、Q1突破には届かず、課題の残る予選となりました。富士は走り出しから調子がよかったのですが、今回アジャストができなかったのは経験が足りない部分で、今後に向けてはいい経験になりました」

「持ち込みでは、全体的にダウンフォースがまったく出ていなくて。新しいアイテムを持ち込んでいたのですが、それが全部悪い方向に行ってしまい、予選では元に戻した形になりました。持ち込みの状態から、考え直す必要があったかなと思います」

「ロングは前回のテストではやっていて、そこまで悪い印象ではないので、もしドライでレースができるのなら、追い上げのチャンスはおおいにあるかなと思っています」

■大嶋和也(docomo business ROOKIE)予選13番手
 予選Q1・Aグループに出走した大嶋は、最終アタックを終えた時点で5番手に。しかし他車のタイムアップによりわずかな差でノックアウトされてしまった。

「だいぶ良くはなったんですけどね。走り始めからフィーリングは悪くなくて、メニューをこなしていくなかでもやれるだけのことはやったんですけど、もうちょっとレベルの高いところからスタートしないと、時間が足りなかったかな、と」

「富士より鈴鹿の方がセット的には自信があったし、テストのフィーリングに近いところからスタートはできたんですが、トラクション方向のリヤのグリップがもう少しあればなぁ、という感じでした」

「一発を出すのに精一杯だったので、ロングは正直、まったく分からないです。でも東條さん(東條力エンジニア)には経験もデータもあるので、その経験上のロングランセットにすれば、問題ないかなと思っていますけど」

2022スーパーフォーミュラ第3戦鈴鹿 大嶋和也(docomo business ROOKIE)

■大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)予選14番手
 富士から不振が続いてしまっている大湯は、Q1・Bグループでわずかに突破ラインに届かず、悔しいQ1敗退となった。

「朝からあまり調子は良くなくて、いろいろ考えて持ち込んできたセットアップが、結局いろいろやっても根本的な解決にならず、正直何をやっても良くも悪くもならない。反応しない、というところに問題を抱えています」

「(セットは)大きく動かしているつもりなのですが、雰囲気が変わったなと思っても、1周回ってきたら同じじゃん、というタイムになってしまって」

「それに加え、山本(尚貴)選手と比べても全然ダウンフォースが出ていないんです。似たようなところ(セット)にしても全然出ていないというのは、富士からずっと抱えている問題です。そこだけ増やそうとしても、ストレートが遅くなったりとか、他に影響が出てしまう」

■牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)予選6番手
 ホンダエンジン勢ではポールの野尻に次ぐ2番目の順位となった牧野。Q1からQ2にかけて、大きくタイムを伸ばした結果だった。

「朝の走り出しは結構調子が良くて、そこが一番グリップしていたかな。その後、路気温が上がり、ニュータイヤを履くタイミングでも、まわりがタイムを上げるなか、自分は上がらなかったのでちょっと嫌な感じはしていました」

「もちろん、予選に向けては路気温が下がることを想定してやってはいましたが、ちょっと想像以上にコンディションが変わってしまい、Q1はギリギリ(通過)になってしまいました」

「そこから結構アジャストは入れて、それはよかったと思います。Q1からQ2にかけて1秒近く上がっているので、『Q3があったらなぁ』と(笑)。それはタラレバですが、いずれにせよ、トップに達するにはまだ足りていないと思います。けど、感触は良くなっているので、『もうひと押し』なんですよね」

2022スーパーフォーミュラ第3戦鈴鹿 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

■福住仁嶺(ThreeBond Drago CORSE)予選16番手
 今季チーム移籍を果たし、1台体制で新たなスタートを切った福住は、予選Q1・Bグループを惜しくも突破ならず。「悔しい」と予選を振り返る。

「フリー走行ではあまり調子がよくなく、そこを少しアジャストして予選にいきました。コンディションの変化の影響の方が大きいとは思いますが、トップとの差は少し詰めることができました」

「とはいえ、あとコンマ1秒くらいでQ2にいけたので、結構悔しい気持ちでいっぱいです」

「いまのポジションが僕たちの実力だと認めて、少しずつ上位に上がっていけるように。僕らは“本番がテスト”みたいなところもあるので、時間がないなかでどうアジャストするかという部分は、大変ですけどとてもいい経験になっていると思います」

「僕らは1台体制ですが、基本的にどのチームでも2台が同じになることはないと思うし、たとえばセルモなどを見ていても、2台で大きな差が出ることがあるのは事実。シビアな部分が多いですし、環境づくりも含め、いろいろと勉強させてもらっていますね」

2022スーパーフォーミュラ第3戦鈴鹿 予選後のメディアミックスゾーンの様子

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