理容店に心震わす格言ボード 沖縄市 弾む会話に頭も心もスッキリ

 【沖縄】「笑顔は1ドルの手元もいらないが百万ドルの価値を生み出す」「時間の使い方はそのまま命の使い方」「手抜きはバレる。丁寧は伝わる」―。沖縄市久保田の理容店「レオン」(翁長和也マネージャー)が18年間も店舗前に掲げ続けている格言、金言、名句、箴言(しんげん)、警句など日替わりのメッセージボードが、「一隅を照らす」(伝教大師・最澄)取り組みとして話題になっている。

 地域の散髪屋さんとして約70年の老舗。経営者として3代目の父正吉さん(78)から和也さん(48)が引き継いで20年余。その2年後、店舗改装を機会に顧客との話題づくりにしたいとの思いで始めたという。

 黒板は縦55センチ、横85センチ。開店時間に店舗入り口の三脚に立てかける。

 「定休日の火曜以外は毎日、掲げている。こんなに長く続いているのはお客さんの反応という後押しがあったから。会話が弾むきっかけになっている」と和也さん。

 3人のスタッフと共にそれぞれが格言集や本、雑誌などで心に響いた文句や言葉を拾い上げ、チョークで手書きしている。同じものはほとんどなく、18年間でその数は膨大だ。

 店のすぐ近くは交差点。赤信号時に車列ができた時、運転手が興味津々と目を向ける光景も。「最近、学生が何度も写メで撮りに来ている。通学路なので児童、生徒も関心を持ってくれているのがうれしい」と表情を和らげる。

 常連客の一人、島崎孝弘さん(48)=読谷村=は「感銘を受ける格言がたくさんある。整髪で頭がすっきり、心もすっきり。ダブル効果だ」と話した。

 和也さんは「今後、うちな~んちゅの肝心(ちむぐくる)がこもった黄金言葉(くがにくとぅば)も取り上げていきたい」と、継続に気持ちを込めていた。

(岸本健通信員)

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