年々減少する「公衆電話」 広がる災害時の“新たな連絡手段”

街に設置されている公衆電話が年々減少する中、もしものときに家族とつながる新たな連絡手段が実は増えています。災害時に使用できる、その名も「災害時用公衆電話」というものです。

3月、福島と宮城を最大震度6強の地震が起こりました。この際、東京都内では大規模な停電が発生し、生活インフラの被害は都民を混乱させました。今から11年前の東日本大震災の時も、都内では大きなインフラ障害が発生しています。家族や知人の安否を確認しようと一斉に電話を使ったことで、大規模な通信障害が起こったのです。街に広がった不安に対して多くの人が求めたのは、災害時につながりやすい「公衆電話」でした。

しかしあれから11年がたち、公衆電話の数は減り続けています。総務省によりますと全国に設置された公衆電話の数は1984年の93万台をピークに右肩下がりに減少し、2020年には14万台ほどになっています。また、総務省は2022年度から10年かけ、市街地に設置されている公衆電話の数を減らす方針です。今までの市街地での設置基準は「500メートル四方に1台」となっていましたが、これを「1キロ四方に1台」に変更し、最終的には全国に14万台ある公衆電話を3万台にまで減らします。

公衆電話が減少する中、災害時に連絡手段はどうすればいいのでしょうか。今、NTT東日本は"災害用の電話”の設置を進めています。安否確認のために使う「災害時用公衆電話」は、地震などが起きたとき一般電話回線よりもつながりやすく無料で使える公衆電話で、避難所に指定されている学校や公民館などに置かれています。千代田区・防災訓練担当の吉田尚係長は「端子盤に接続すれば災害時に優先して使用できる。停電時も電話回線の給電のみで使用することができる。災害時、家族の安否確認に安心して使用してもらえる」と話しています。設置を進めるNTT東日本によりますと、災害時用公衆電話は東日本大震災以降、その数を9年間で1万台から8万台へと増やしているということです。

もしもの時に家族や友人とつながるための"命綱”ともいえる「公衆電話」の設置場所を、災害が起こる前に確認しておくことが必要です。

<公衆電話の場所 どうやって確認?>

一般的な公衆電話の場所はNTT東日本のホームページで検索することができます。屋内に設置されているか屋外なのか、また1日中利用できるのか、それとも夜などには閉鎖されてしまう建物の中にあるのかなど、利用時間も含め、マークで分けて表示しています。

また「災害時用公衆電話」が設置されている場所も検索できます。クリックすると、設置される避難所の場所や電話機の数も調べられます。ただし、災害時用公衆電話は普段は片付けてあり、緊急時にだけ設置されるという点にご注意ください。

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