千々石ミゲル夫妻の墓所確定 調査団体が正式発表 長崎県諫早

 天正遣欧使節の一人、千々石ミゲルが埋葬されたとみられる長崎県諫早市多良見町山川内の墓所推定地で発掘調査した民間団体は23日、現地近くで会見し、同所が「ミゲル夫妻の墓所と確定することができた」とする調査結果を正式発表した。

 団体はミゲルの子孫や識者らでつくり、昨年8、9月に第4次発掘調査に取り組んだ「千々石ミゲル墓所調査プロジェクト」(浅田昌彦代表)。同プロジェクトが設置した指導委員会(委員長・谷川章雄前日本考古学協会長)の判断を踏まえ、公表した。同使節4人を巡っては墓所として確定に至った遺跡はなく、今後は文化財指定に向けた動きも焦点となる。
 同所ではこれまでに、ミゲルの四男玄蕃(げんば)の名前と禁教令後の1633年に没した男女2人の戒名が刻まれた日蓮宗形式の墓石、成人女性を埋葬した1号墓が見つかっていた。玄蕃は墓の施主とみられている。4次調査では2号墓が新たに発見され、ほぼ全身の骨格が出土。鑑定を進めていた。
 同プロジェクトによると、骨は男性と鑑定され身長から成人とみられることや、2人の死亡と墓石建立、二つの埋葬施設の造営がほぼ同じ時期だったと考えられ、墓所全体が計画的に造られたと判明した。
 ミゲルは同使節の4人の中で唯一、キリスト教を棄(す)てたとされるが、棄教しなかったとの見方もある。2号墓からは1号墓と異なり、キリシタン副葬品は出土しなかったが、発掘責任者の田中裕介別府大教授は「仏教徒なら普通はある六道銭が埋められていない。(2号墓は)キリスト教様式の埋葬の可能性がある」と見解を示した。


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