出口喜男さん死去 高齢者医療、福祉に尽力

出口喜男さん

 長崎県の高齢者医療・福祉に尽力した医師で、書家としても活躍した社会福祉法人寿光会理事長の出口喜男(でぐち・よしお)氏が23日午前2時18分、老衰のため諫早市の介護医療院で死去した。98歳。旧南高堂崎村(現在の南島原市有家町)出身。自宅は諫早市東小路町14の33。葬儀・告別式は25日午後1時から諫早市栗面町120の1、諫早法倫会館で。喪主は妻タマヱさん。
 大学は法科を目指していたが、妊娠中の姉が急死したため「1人でも多くの人を救いたい」と長崎医科大(現在の長崎大医学部)へ進んだ。やけどを負い寝たきりとなった母親の介護体験を踏まえ1972年、諫早市有喜町に最初の特別養護老人ホーム(特養)を開設。その後も盲養護老人ホームや在宅介護支援のショートステイ事業、認知症高齢者の通所型デイサービス事業など、高齢化社会に対応した環境整備を実践した。
 前衛書家(雅号・恵山)としても旺盛に作品を発表し、国内外の書の展覧会で受賞。施設では書を通じた入所者の生きがいづくり、書道療法にも取り組んだ。書道団体「奎星会」名誉顧問、母校の長崎商同窓会長、日本アイバンク運動推進協議会理事長、老朽化が進む聖福寺(長崎市)の修復を支援する市民団体会長を務めるなど、活動は国際交流推進も含め多岐に及んだ。その功績で県民表彰、長崎新聞文化章などを受けた。

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