PayPayポイント開始で、4大ポイントの勢力図に変化の兆し?楽天、T、Ponta、dポイントの行方

クレジットカード、FeliCa型電子マネー(SUICAやWAON等のカードタイプ)に次いで、今やスマホを利用したQRコード決済は、キャッシュレス決済利用率で第3位です。

そのQRコード決済の中でも、断トツで利用率が高い「PayPay」が、2022年4月より、ポイント事業へ本格参入します。いま主流のポイントサービス勢力図が、PayPayポイントが本格始動することで、どのように変わり、どう影響してくるのか、解説をしていきます。


PayPayポイントがスタート! 現在の4大ポイント経済圏のおさらい

2022年4月より、「PayPayボーナス」が、「PayPayポイント」へ名称変更されました。
※参考 PayPay公式サイト

今までもPayPayを利用する度に、ボーナスポイントが付与され、そのポイントを貯めたり、使ったり、運用をしたりすることができました。つまり利用者にとっては、ただ名称が変わっただけ、と思われるかも知れません。

ところが、今回の名称変更に伴い、ポイント経済圏の勢力図には大きな変化が伴っています。まずは、現在の4大ポイントについておさらいをしていきましょう。

この「経済圏」という言葉の定義は、生活のさまざまなシーンで、よく利用するサービスに集中させることで、ポイントを効率的に貯めたり、使ったり、運用したりできるサイクルのことです。

例えば、楽天市場で買い物をして、楽天カード支払いをするなど、2重、3重のポイント付与で無理なくポイントを獲得することできます。さらに貯まったポイントを生活コスト(光熱費や通信費の支払い)に充てることで、家計の節約に繋げることもできます。

まず、これらのポイントサービスには、私たちの生活には切り離せない、スマートフォンの「キャリア別」に囲い込みが行われていることがわかります。

参考までに、総務省が発表している各携帯電話キャリアのシェアを見てみましょう。

総務省 電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表 (令和3年9月17日)

【抜粋】
■移動系通信の契約数における事業者別シェア
・NTTドコモ:36.9%(前期比±0ポイント、前年同期比▲0.2ポイント、MVNOへの提供に係るものを含めると42.1%)
・KDDIグループ:27.0%(前期比▲0.1ポイント、前年同期比▲0.6ポイント、MVNOへの提供に係るものを含めると30.7%)
・ソフトバンク:21.0%(前期比▲0.1ポイント、前年同期比▲0.5ポイント、MVNOへの提供に係るものを含めると25.2%)
・楽天モバイル:1.9%(前期比+0.4ポイント、前年同期比+1.5ポイント)

最も利用者数が多いポイント事業として「楽天」が挙げられますが、携帯キャリアの占有率では、実は他の3社と大きな開きがあるとわかります。

そして、今回注目をしているPayPayは、ソフトバンク経済圏の中にあるサービスですが、ここにはすでにTポイントが存在しています。さて、これはこの先、どのように変化していくでしょう。

新規参入PayPayポイントが、Tポイントに取って代わる?

現在、4大ポイント経済圏の利用状況のアンケートでは、楽天ポイント→Tポイント→Pontaポイント→dポイントの並びになっています。

年齢性別を問わず、比較的全世代に利用されているTポイントは、楽天ポイントに次いで2番目。特に50代男性においては、楽天ポイントよりもTポイントの方が多い、という調査結果もあるようです。
※参照:SBI 生命保険株式会社 あなたのライフスタイルに関するアンケート (2021年10月7日~2021年10月8日)

そのくらい利用者が多いTポイントに、PayPayポイントがどう迫るのか。ポイント活動をしている私たちには気になるところです。そこで、以下のような発表を関連付けて考えてみます。

上記の発表から分かるように、ソフトバンク経済圏では、完全にTポイントからPayPayポイントへの一本化が進んでいます。

さらに、少し前になりますが、2019年4月に、コーヒーチェーン「ドトール」で利用できていたTポイント。のサービスが無くなり、dポイントへ変わるなど、ややTポイントの勢力圏が狭まっているようです。

これらの状況から、この先のポイント経済圏の勢力図に大きな変化の兆しが感じ取れないでしょうか。

ポイント付与の違い。PayPayポイントの課題?

さて、上記を含む各種ポイントサービスですが、「どうやってポイントが付与されるのか」には大きな違いがあります。それは、共通ポイントと決済ポイントの2種類です。

共通ポイントは、ポイントカードを提示することなどで受けられるポイントで、4大ポイント経済圏の全てが対応をしています。(楽天ポイント、Tポイント、Pontaポイント、dポイント)

例えば、決済は現金やクレジットで行いながら、楽天ポイントやTポイントはポイント付与を受けることができます。ところがPayPayポイントでは、PayPayで決済をした時のみに、ポイントが付与される仕組みです。この違いは、今後PayPayポイントの拡大にどういった影響を与えるのか。そして私たちの利便性にどのくらい影響を及ぼすか。注目の点です。


日常生活で使用している携帯キャリアや、よく使うお店は人それぞれです。これらの経済圏には、それぞれ特徴はありますが、一番大事なのは無理なく、自然に貯まっていく仕組みです。生活コストの削減に、大きなインパクトを与えるポイント経済圏の活用。自分に一番合ったサービスを見つけてくださいね。

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