【寄稿】3月いろいろ(WEB版)/POKKA吉田

3月はまん延防止等重点措置の終了が予定されている月であり、年度末ということもあって、いろいろ動きがあると考えていた人も多かったことだろう。実際に動きはいくつもあった。

まずは15日。全日本遊技産業政治連盟が木村義雄氏を応援することを記者会見で正式に表明した。この連盟はぱちんこ業界の主要団体の代表者らが集まっており、現在は全日遊連阿部理事長が連盟会長を担っている。会見では阿部会長はもちろん、日遊協西村会長、余暇進千原副会長、MIRAI東野代表理事、日工組榎本理事長、日電協兼次理事長、全商協中村会長、回胴遊商大饗理事長が並んだ。主要業界団体のトップらが集まった会見にはもちろん木村義雄氏も登壇している。

この日は会見までに東遊商のセミナーに木村氏が登壇しており、自身の長年にわたる政治活動などについて力説している。

木村氏は今年の参議院議員選挙の全国比例の候補予定者として自民党から公認を受けている。公認証書の受け渡しが13日ということもあってか、この日の会見という運びになったようだ。

会見で連盟の阿部会長は、昨年8月から木村氏への応援について、風営法議連の幹部など自民党から要請を受けていたことを明かしており、公認を受けたことで業界挙げて木村氏を応援する旨を壇上に集まった方々とともに明言している。

本紙の鈴木さんも会見にもちろん取材に来ていたし私も取材に行った。あくまでも私の率直な感想だが「今回は3年前とは違い、業界が一丸となって応援することになっている」ということが特筆すべきだと思っている。今回、ホール4団体、メーカー2団体、販社2団体のトップらが集まって応援することを表明するということは、3年前にはなかったことである。既に日遊協の広報誌にて西村会長と木村氏との対談記事が掲載予定となっていることも日遊協の西村会長が会見で明かしている。今回、ぱちんこ業界はオフィシャルとして木村氏を応援することを表明したというのは大きな意味があるかと思う。3年前とは応援する人も違うが、今年の推移は私は連盟の表明を好意的に受け取って注目しようと思っている。次はやはり日工組、日電協のスマート遊技機などのアナウンスだろう。23日に、日工組と日電協はホール4団体に対して案内している。その内容はご存じかと思うが、まとめると次のとおりとなる。

・有利区間4,000ゲーム+差枚数管理の6号機の登場は5月末頃
・スマートパチスロの納品目標は今年11月
・スマートパチンコの納品目標は来年1月

日工組と日電協は同じ内容の案内をプレスリリースとして、ホール4団体に案内した翌日である24日に発表している。

ちょうどスマート遊技機等のスケジュールの案内があってから一週間ほど後の30日、こんどは技術上の規格解釈基準が改正されて即施行されていることが警察庁のHPにて明らかになった。こちらも内容はご存じかと思うが、次のとおり。

・b時短の発動可能要件緩和(MLTSの2.5倍から3倍までだったものが、1.5倍から3倍までに改正 ML→初当たり確率)
・ぱちんこ、パチスロともにコンプリート機能に関連した改正

個枚数に制限を設けて遊技を終了させる機能については、昨年の段階ではコンプリート機能と呼ばれていた。最終的にこの機能がどう呼ばれるかはまだ不明だが、日工組、日電協はコンプリート機能搭載を自主規制側でルール化することで射幸性の抑制を担保し、別の部分での規制緩和を検討しているが、解釈基準にコンプリート機能関連が記述されたことによって、この流れも現実的になってきたことがわかる。現在、日工組、日電協ともにコンプリート機能搭載のルール化を進めている最中であり、最終的にどのような規制体系になるか、いずれ明らかになると思う。現時点ではコンプリート機能はほとんどの遊技客が経験したことのないレベルでの個枚数に設定されていることから、この制限が新設されることによる性能低下の不安はないというのが私の想定である。むしろ他の規制緩和が得られるのなら歓迎すべき、ということでもある。

3月にあった動きはおおむねこのようなものだった。また、3月の型式試験状況については、保通協のHPでの公表値によると、回胴の適合率が30%近くまで急回復していることも明らかになっている。既に3月中に4,000ゲーム+差枚数の6号機の適合があったことも明らかになっており、本稿執筆時点で販社説明会が済んでいる機種もあるので、まずは5月末の登場をホール関係者は楽しみにしておきたい。今年に入って、6号機市場は少しずつ良化しているように私には見えている。旧規則機撤去となった経過措置終了時期でもあったが、6号機だけの市場として、現在のところ別格的なジャグ、沖ドキDUO、そして番長ZEROが好調だ。これらの好調で引き合いが強く中古市場でも高値をつけている「前の6号機」がありつつ、さらに5月末頃に登場し始める「新しい6号機」が控えているのが現在だ。MYで算出するよりも差枚数で算出しての2,400枚規制となる方が一撃獲得枚数が増えるのは当然のこと。さらにはコンプリート機能も控えており規制緩和が見込めるほか、11月にはさらに規制緩和が見込めるスマートパチスロの登場も予定されている。6号機はそのスタートが厳しすぎただけに、今年はおそらく反転攻勢の年になる。機種選定の重要度は昨年とは比較にならないくらいに重要となるだろう。

ぱちんこの方は既に現状の規制の枠内でもRe:ゼロやエヴァといった、新しい成功機種が続々と登場している。b時短の規制緩和も視野に入っているしスマートパチンコもさらに規制緩和が見込めることは間違いないので新しい規制の内容も楽しみではあるが、ぱちんこの場合は既に既存機でも大成功例があるという点で昨年の時点で機種選定の重要度は激高となっていた。選定に成功した店は欲しい機種を中古で高値で買う側ではなく「高値で売る側」に回ることができた。既にぱちんこの場合はこの2年ほど、機種選定の成否によって、ホールの資産である遊技機の管理(売買など)内容によっては、かなりの利益を出せることもわかっている。引き続き機種選定が重要になる。

4月になったということで、年度も新しくなった。今年の参議院議員選挙の候補予定者を業界挙げて応援することは既に会見で連盟が示している。遊技機の規制緩和も日工組、日電協の努力や政治力の助力も奏功し流れには乗っている。まだまだ半導体調達関連やウクライナ情勢など難しい問題が山積みの国際社会には違いないが、業界にとって強材料が出始めたという意味では3月は良い一か月だったのではないだろうか。

そんな気がしている。そろそろ良い話を書いたり話したりすることを私も増やしていきたいものである。

■プロフィール
POKKA吉田
本名/岡崎徹
大阪出身。
業界紙に5年在籍後、上京してスロバラ運営など。
2004年3月フリーへ。
各誌連載、講演、TV出演など。
お問い合わせ等は公式HP「POKKA吉田のピー・ドット・ジェイピー(www.y-pokka.jp)」か本誌編集部まで。

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