INXS『KICK』発売35周年を記念して配信された空間オーディオのメイキング映像が公開

Kirk Pengilly, Tim Farriss, INXS - Photo: Brendon Thorne/Getty Images

INXS(インエクセス)の名作アルバム『KICK』発売35周年を記念して、Apple Musicで独占配信されている空間オーディオ・エディションの制作現場より、プロデューサーのジャイルズ・マーティンが、同アルバムを臨場感あふれる空間オーディオ(イマーシブ・ミックス)へとリミックスするスタジオ作業の様子やメンバーの最新インタビューを収めた新たなメイキング映像が公開された。

<YouTube:空間オーディオメイキング>

UK出身で、過去に2度のグラミー賞を受賞している音楽プロデューサーのジャイルズ・マーティンは、この映像の中で次のように語っている。

「このアルバムが、当時13歳だった私をどんな気持ちにさせたのか、世界にどう感じさせたのか、そして彼らがどのようにのし上がり、注目されていったのかについて考えています。私の仕事は、作品を一度バラバラにして、それをまた元に戻すことです。没入型のサウンドを作り上げるためには、アルバム本来のサウンドを再現しなければなりません」

INXSのメンバーであるティム・ファリスもこのアルバムについての議論に加わり、こう語っている。

「没入型ミックス聴くという体験は最初は衝撃的でした。そこには様々な複雑さがあります。とても繊細なバランスが求められるんです」

同じくメンバーのカーク・ペンギリーはこう付け加えた。

「一番最初にそのミックスを聴いた時、“おや、攻撃的なサウンドがちょっと失われてしまったな”と思いました。マーティンは、レコードを作り変える上での最初の通過点への反応を受けて、その途中で失われたロックンロールのヒントを取り戻すために、作業を重ねていきました」

アルバム『KICK』の空間オーディオ・エディションの制作は、そうしたある種のコラボレーション作業によって完成した。INXSにとって『KICK』のように、アーティストのキャリアにとって、欠かせないレコードにおける最も重要な要素は、それを正しく仕上げることなのだ。

声明の中でカーク・ペンギリーは次のように述べている。

「このレコードが最初に録音された35年前の80年代には、アウトボードなど、その時代特有の多くの外部機器が必要でした。それらの機材はもう手に入らないので、今日の技術でレコードを再現し、正確に音を加工してくれたジャイルズには脱帽です。オリジナル・アルバムのサウンドが3D空間に広がっているような、とても素晴らしい音に仕上がっています」

Written By Larisha Paul
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INXS『KICK』
空間オーディオ2022年4月4日配信開始

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