小栗旬、北条義時を演じることは「正直しんどい」。「鎌倉殿の13人」壇ノ浦の戦いの見どころは「菅田将暉との対話シーン」

小栗旬が主演を務める、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜午後8:00ほか)の5月8日放送・第18回では、「壇ノ浦で舞った男」を放送。物語序盤のクライマックスといえる壇ノ浦の戦い、すなわち平家の滅亡を描く回を前に、主人公の北条義時を演じる小栗が、見どころや現在の心境を明かした。

三谷幸喜が脚本を担当する本作は、源頼朝(大泉洋)の妻となる北条政子(小池栄子)の弟・北条義時(小栗)を主人公に、地方の豪族から頼朝の第一の側近となった義時が、その後いかにして頂点に上り詰めたのかを、鎌倉幕府を支えた武士たちの姿を絡めて描くもの。

「ここを目標に動いてきた物語ではあるので、これを経た後に何が残っているのかを見てほしい」と訴える小栗は、「すべてが終わった時に義時と義経(菅田将暉)が2人で話すシーン」を第18回の見どころに挙げ、「素晴らしいロケーションで撮影もさせてもらいましたし、その中で義時は、自分たちが目指した平家滅亡というものは、果たしてこういう形が正解だったのだろうかっていうことを悩んでいる。ちょっと違う悩みを持った義経との会話では、初めて少し、義時が義経に意見するというような瞬間があるんです」と解説する。

義経役の菅田とは、今回が6度目の共演。あらためて感じた菅田の魅力について尋ねると、「たぶん、大河じゃないとありえない設定だと思うんですが、菅田の方が僕より年上っていうのがまず一つデカいっすよ」と笑いつつ、「はっきり言って18回に至るまで、義経の中であまり義時は眼中にないんですよね。彼にとってはあくまで頼朝の家人であって、自分にとってはそんなに大きな存在ではないっていうスタンスで、僕らは絡んできています」と、ここまでの2人の関係性を説明。その上で「菅田くんが義経を演じている姿を見ると、今まで自分が見てきた菅田将暉というものとは、また違う存在感と、お芝居のアプローチだなっていうのは現場で感じています。底の知れない人というか、そういう感じがありますね。あまり現場で悩んでいるような素振りとかも見せる人ではないので、どのタイミングで、お芝居のこと考えてるいのかなって思いながら見ています」と印象を話した。

また、「ダークヒーロー」と例えられることが多い義時だが、小栗は「義時ってやってきたことがやってきたことなので、ある意味、ダークヒーローみたいな言われ方をしながら、今回の『鎌倉殿の13人』でもそういうキャッチフレーズみたいなもので、始まったとは思うんですが。自分が撮影しているところまで至っても、やっぱり何かダークというよりは、シビアな決断を迫られるような状況になってきて、その中で北条が生き抜くにはどうするべきなのかっていうチョイスをした結果、やったことが残忍だったみたいなことだと思うんです」と義時を分析。そして、「壇ノ浦の戦い後は、源氏の話にもなっていくし、頼朝という人がどういう形で鎌倉というものを最終的に作り上げていくのかっていうことに、付き従っていく中で、義時がだんだんと今までは振られてなかった仕事を振られるようになっていく。そこで決断していく姿っていうものは、見ていいただけたらなと思っています。その積み重ねによって、彼の中で徐々に迷いが減っていくっていうことが、ある意味テーマだと思っているので」と今後の展開について触れた。

そんなシビアな選択が増えていく義時を演じることは「本当に正直なことを言ったら、結構やっててしんどいですよ」と胸中を吐露する小栗。「最近は、冒頭の“明るく楽しい北条一家”みたいな感じはだんだんなくなってきて。義時をずっとやらせてもらっている中で感じていることは、どのシーンにいても義時って意外と『次どうする、次どうする』みたいなことを常に考えていなければならなくて。それが最初の頃は楽しかったし、そういうことで成長していく自分というのを愛せていた時期もあったと思うんです。でも、それが段々、“次どうする=誰かをはめなければいけない”だったり、“誰かを落とさなければいけない”っていう選択肢になってきていて、しんどくはなってきていますね。でもありがたいことに、現場はみんな楽しく撮影をしているので、そこまで何か、“どーん”(と落ち込む)みたいなことはなくやれているとは思っています」と語った。

ここまで義時を演じてきた中で、自身との共通点を聞かれると「この時代の人物に今の自分を投影するのは難しい」と口にするが、「それでもやっぱり、900年以上前の状況の中でどういう感覚だったのかというのを、今の自分の中から絞り出さなければいけないので、間違いなく自分のパーソナルな部分というものも含めた、義時というものになっていると思う」と述べる。

そして、現場で共演者と「こうやっていろんな人がいろんな役で登場する大河ドラマって面白い」と話したことを打ち明け、「三谷さんから台本をもらっても、僕じゃなければこの義時になってないし、違う人が演じた場合には、絶対違う義時になるし。大泉さんが演じてなければ、きっとああいう頼朝にはなっていない。やっぱり間違いなく俳優さんが持つ、何かしらの部分というものは、どうしても役を通して出ていくものだと思います」と“共通点”とは違う、演者が持つ“何か”が役柄に投影されている部分も、作品の魅力になっていると伝えた。

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