ミュージカル『ジョセフ・アンド・ザ・アメージング・テクニカラー・ドリームコート』上演中!諦めなければ、叶う!

4月29日まで日生劇場にて公演中のミュージカル『ジョセフ・アンド・ザ・アメージング・テクニカラー・ドリームコート』。世界中で数多く上演されており、2011年には来日公演を果たしたが、東日本大震災で中途で公演中止に。2016年に『ヨセフと不思議なテクニカラー・ドリームコート』のタイトルで、来日公演。日本では、1984年・85年に玉川大学にて日本語による初上演。今回の公演は、2020年に上演を予定されていたが、コロナ禍による緊急事態宣言で全公演が中止に。2022年の今年、リベンジ公演となる。

この作品は、アンドリュー・ロイド=ウェバーとティム・ライスが初めてコンビを組んだミュージカル、しかもまだ、学生の頃のこと。旧約聖書の創世記の中で語られるヨセフ(ヨセフは日本語読み、英語ではジョセフ)の物語を基に制作、公の場で上演された両氏の最初の作品。元々は1968年に学芸会用の短編として作られたのだが、その後にコンセプトアルバムとして録音される。その次の作品が、かの有名な「Jesus Christ Superstar」、劇団四季で何度も上演されているのと、楽曲も大ヒットしているので多くのファンがいるミュージカル。このヒットを受けて、舞台用に何度か書き直された後、1973年にウェストエンドで初上演、Broadwayでは、1982年に初演。「Cats」や「Jesus Christ Superstar」と同じく、この作品も、普通の台詞がないオペラ形式のミュージカル。ファミリー向けのストーリーであり、普遍的な内容、テーマ、覚えやすいメロディであることなどの理由で学芸会やアマチュア劇団の公演などでは20000回以上も上演されているそう。2幕もの。なお、ナレーター役は女性だが、オリジナルでは男性。ストーリーは旧約聖書の創世記の第37章から46章が基になっている。
プロローグ、ここでアンドリュー・ロイド=ウェバー作品を多数観劇しているなら「お!」と思う瞬間、『Any Dream Will Do』、最初からテーマを提示、”どんな夢でもできる”、超前向きな内容の楽曲だ。子供部屋、2段ベッド、女の子は本を読み、男の子はぬいぐるみで遊んでいる、そんな子供たちとナレーター(平野綾、シルビア・グラブ/Wキャスト)が歌う。そして舞台中央にジョセフの家、父であるジェイコブ(村井國夫)は11番目の子供ジョセフ(薮宏太)がお気に入り、なかなかに不公平な父親だ。ここでかかる楽曲は『Jacob and Sons』。いわば、ジェイコブの子供たちの紹介、皆、個性的なので、できれば一人一人、注目してほしい。ナレーターがスマホを取り出してパチリ!現代らしい演出。そしてジェイコブはジョセフにコートをプレゼント、これがすごい!豪華!それに引き換え、他の11人の兄弟たちの服装は地味を通り越してやや見窄らしい。正直、”これじゃあ、嫉妬されるよね”と思わせるほどの歴然とした差。ある日ジョセフは自分が出世する夢を見て、それを兄弟たちに語る(Joseph’s Dreams )。ますます、嫉妬されるジョセフ、彼らにとってジョセフは”目の上のたんこぶ”状態、”あいつなんか消えてしまえばいい”と歌う兄弟たち。偶然に通りかかったイシュマエルの子孫である隊商にジョセフを奴隷として売り飛ばす(Poor, Poor Joseph)。邪魔者がいなくなり、父親に嘘の報告(One More Angel in Heaven)、彼らがやったことと、歌詞の内容がやたらにしおらしい(もちろん嘘)。ジョセフはポティファー(小浦一優)というエジプトの金持ちの奴隷になったが、持ち前の真面目さを発揮し、すぐにポティファーのお気に入りに。ちなみに、このポティファーはピラミッドの建設で金持ちになったという設定、扮装がいかにも成金っぽいのが可笑しみを誘う。そして彼の妻が、また絵に描いたような妖艶、セクシー、ものすごい勢いでジョセフを誘惑、いや誘惑以上!!それをポティファーに見られてしまい、さあ、大変、投獄の憂き目に。さすがに意気消沈するジョセフ(Close Every Door)、だが、同じく投獄されていた囚人たちの夢を読み解く。これを聞いた他の囚人たちはジョセフに夢を追いかけるように言う(Go, Go, Go Joseph )、客席からクラップ、気持ちが高揚するナンバーだ。そして、2幕へと連なる。ナレーターと子供たち(A Pharaoh Story)、ジョセフのその後の運命、ファラオ(小西遼生)が見た夢、誰もわからない。そこへジョセフのことを執事が話す、夢が解明できると言う(Poor, Poor Pharaoh )。彼が見た夢の内容(Song of the King)、ファラオの衣装が!どこかのロックスターのような!エレキギターも!ここでも客席からクラップ、ノリノリな場面、ナンバー。小西遼生がスターになりきって!周囲の女性陣がメロメロになって倒れたりするところは思わず笑いが。ジョセフは早速夢を解き明かす(Pharaoh’s Dreams Explained )。なんと飢饉が来ると…。びっくりするファラオ、大出世するジョセフ(Stone the Crows )、そして本当に飢饉がきて!この飢饉はエジプトだけでなく、ジョセフの故郷・カナンもまた飢饉に見舞われ、兄弟たちは激しく後悔(Those Canaan Days )。まさに「後悔先に立たず」食糧がエジプトにあると聞き、兄弟たちはエジプトへ。そこで再会を果たすが、宰相になったジョセフに気付かず(The Brothers Come to Egypt)。さて、どうする、ジョセフ??という流れ。
多彩な楽曲、オペラと同じく、音楽で綴っていく。「Jesus Christ Superstar」「Evita」「Cats」など、アンドリュー・ロイド=ウェバー作品を複数観劇したことのあるミュージカルファンなら、作品の変遷をダイレクトに、肌で感じることができる。旧約聖書に登場するジョセフの物語がベースになっているとはいえ、構成の巧みさ、緩急の付け方など、さすがと言うより他にない。また、ファミリー向けであるので、聖書に馴染みがない日本人でも楽しく観ることができる。テーマの普遍性だけでなく、音楽の力、キャスト陣の迫力の歌、最後のオチは落ち着くべきところに落ち着くのだが、そこに至るまでの、楽しくも可笑しいやりとり、楽曲は言うまでもなく、キャラクターの一挙一動、細かいところまで計算されており、目がいくつあっても足りないくらい、脇キャラもとにかくユニーク。
物語のテーマ、『Any Dream Will Do』、そして聖書の、このジョセフの物語を知って入れば…彼の行動、諦めなければ、思い描いていたことは叶うはず、そして誠実に生きること。ファミリー向け、というのも頷けるわかりやすさと普遍性、そしてとことん観客を楽しませる構成、エンタメ性の高さ。アンドリュー・ロイド=ウェバーとティム・ライスがまだ、駆け出しの、いや学生時代の作品なので、駆け出し以前?とも言えるかもしれないが、”天才”と呼ばれるのも納得、そして何よりも観客を徹底的に笑顔にしようという心意気。とにかく勢いがあり、パワフルでこの二人の若さも感じられる。この作品から「Jesus Christ Superstar」、「Evita」と連なっていく。その連なり方は楽曲や構成を考えると興味深い。キャスト陣は大半の方々は2020年の公演に向けて稽古していたので、作品を熟知しており、細かいところまで徹底して魅せる。プロダクションによって、ロック・ディスコ調のメドレーが流れる(Joseph Megamix )が、このカンパニーもこの楽曲を採用、客席は大いに盛り上がった。無事に千穐楽まで駆け抜けてほしい。

1幕
Prologue 、Any Dream Will Do
Jacob and Sons
Joseph’s Coat
Joseph’s Dreams
Poor, Poor Joseph
One More Angel in Heaven
Potiphar
Close Every Door
Go, Go, Go Joseph

2幕
A Pharaoh Story
Poor, Poor Pharaoh
Song of the King
Pharaoh’s Dreams Explained
(Stone the Crows )。(2007年ロンドン再演ではファラオは新曲『King of my Heart 』を歌った)
Those Canaan Days
The Brothers Come to Egypt
Grovel, Grovel
Benjamin Calypso
Joseph All the Time
Jacob in Egypt
Finale: Any Dream Will Do (リプライズ)/Give Me My Coloured Coat )
Joseph Megamix

キャスト
ジョセフ:薮宏太(Hey! Say! JUMP)

ナレーター:平野綾、シルビア・グラブ

ファラオ:小西遼生
ポティファー:小浦一優(芋洗坂係長)
ジェイコブ:村井國夫

ジュダ:日野真一郎(LE VELVETS)
ベンジャミン:元木湧(少年忍者 / ジャニーズJr.)
リーヴァイ:東山光明
ナフタリ:大山真志
イッサカル:章平
ルベン:原田優一
シメオン:中山昇

アシェル:高橋駿一(PADMA)
ガド:中山義紘
ダン:西田健二
ゼブルン:一条俊輝
ポティファー夫人:小野妃香里
ジェイコブ夫人:天野朋子
リーヴァイの妻:玲実くれあ
ジュダの妻:菜々香
ダンの妻:栗山絵美
ナフタリの妻:齊藤恕茉

子供たち:浅野心佑、高畑遼大、宮島瑠南、末次寿樹、古澤利空、森田みなも
ほか

※ポティファー夫人役の小野妃香里はケガにより東京公演を休演し、栗山絵美が代役を務めます。

ストーリー
旧約聖書「創世記」の「ジョセフの物語」をベースに、全編音楽で綴るミュージカル。
現代のある家。眠れない子供たちの前に突然不思議な女性=ナレーターが現れて、過去の物語を語り始めます。
それは聖書の物語。ナレーターは子供たちを物語の世界にいざない、夢を見ること、そしてそれをあきらめずに希望を持って生きることの大切さを自身の言葉で優しく子供たちに教えていきます。
カナンの地に住むジョセフは、12人兄弟の11番目で父ジェイコブが贔屓する一番のお気に入り。ある日、ジョセフだけに父からカラフルなコート(=テクニカラー・ドリーム・コート)を授けられたが、残る11人の兄弟から妬まれてしまい、策を講じられて奴隷として売り払われてしまった。ポティファーというエジプトの金持ちの奴隷となってエジプトで暮らすことになったジョセフだが、持ち前の真面目さで献身的に仕えるうち、主人に信頼されていくように。しかし、主人の妻から一方的に想いを寄せられて拒んだが、かえって濡れ衣を着せられて投獄されてしまう。牢獄でジョセフは、他の囚人たちの夢を読み解き、その能力は王宮に伝わり、ついにはファラオに仕える立場になった。後、自らの予言した大飢饉の際にエジプトに穀物を買いに来た、かつて自分を売り飛ばした兄弟たちがジョセフの前に現れる…。
ナレーターと子供たちが物語の世界の中で時に応援し、その運命を見守る中、ジョセフの取った選択は?

概要
日程・会場:
東京
2022年4月7日(木)~4月29日(金・祝) 日生劇場
愛知
2022年5月5日(木・祝)~5月7日(土) 刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール
大阪
2022年5月12日(木)~5月16日(月) オリックス劇場

作曲:アンドリュー・ロイド=ウェバー
作詞:ティム・ライス
演出:ダレン・ヤップ
翻訳・訳詞:高橋亜子
音楽監督:岩崎 廉 演出補・振付:TETSUHARU 美術:伊藤雅子
照明:高見和義 音響:山本浩一、松山岳 衣裳:前田文子
ヘアメイク:野澤幸雄(スタジオAD) 歌唱指導:ちあきしん
演出助手:坂本聖子 通訳:伊藤美代子 舞台監督:藤崎 遊
版権元:The Really Useful Group Ltd
版権交渉:シーエイティプロデュース
製作:松竹、シーエイティプロデュース

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